[スキャナー]焦点の数字…「44議席減」自民過半数割れライン・「213選挙区」野党5党候補一本化

衆院選は31日、投開票日を迎える。今回の選挙戦は、自民、公明の与党に対し、立憲民主、共産両党など野党5党の候補者一本化が進み、「政権選択」の色彩が濃くなった。焦点となる数字からも、今回の特徴が見て取れる。(政治部 工藤淳、金子靖志)
「自公政権に委ねるのか、立憲民主党、共産党の野党勢力に委ねるのか。これが選挙で問われている」
岸田首相(自民党総裁)は選挙戦最終日の30日、東京都調布市で自公連立政権の継続を訴えた。
今回の衆院選では、首相が勝敗ラインに掲げた与党過半数の233議席は確保する公算が大きいものの、与野党で接戦となっている選挙区が多く、自民党は公示前の276議席から減らす可能性が高い。2017年の前回衆院選では与党で3分の2超の大勝を果たしただけに、今回は減少幅をどれだけ抑えられるかが焦点となっている。
特に注目されるのが、自民が単独過半数を維持できるかどうかだ。公示前から44議席以上減らすと、単独過半数割れになる。
読売新聞社の終盤情勢調査では、小選挙区の自民候補277人のうち、優勢に立つのは113人にとどまり、自民単独で過半数に届くかどうかは微妙な情勢だ。首相は26日のBSフジの番組で「単独過半数を申し上げるのはちょっと早すぎる。ちょっとした流れの変化でバタバタと負けるかもしれない」と語った。
結果を左右するのは、事実上の与野党一騎打ちの構図となった132選挙区の情勢だ。終盤情勢で自民は104人が当落線上の戦いを強いられており、その中には、神奈川13区の甘利幹事長や福島2区の根本匠・元厚生労働相ら大物候補も含まれている。
自民は、最終盤で接戦区に党幹部を次々と投入し、テコ入れを図った。自民の麻生副総裁は30日、与野党がデッドヒートを繰り広げる茨城7区の茨城県古河市で演説し、「自公の安定した政権で、大きく変わる時代に応えていく。そういった実績を持つ自民党に力を与えてください」と支持を呼びかけた。
自民が今回、単独過半数を割れば、民主党に敗れて野党に転落した09年衆院選以来、12年ぶりとなる。自民が232議席以下になると、相対的に公明の影響力が増し、首相の求心力低下は避けられない。来年夏に参院選を控える中で、「選挙の顔」としての首相を不安視する声が広がるのは必至で、政権基盤が揺らぐ可能性もある。
野党勢力の勝敗を左右するのは、立憲民主、共産、国民民主、れいわ新選組、社民の野党5党が候補者を一本化した213選挙区の行方だ。全289選挙区の7割以上にあたる。共産が小選挙区の候補を過去最少の105人に絞り込んだ影響もあり、全体の候補者数は現行制度下で最少の1051人となった。
213選挙区のうち、野党第1党の立民候補に一本化されたのは160選挙区に上る。政権批判票を集約して議席を積み増す態勢が整い、読売新聞社の終盤情勢調査では、公示前の110議席から30近く増やす可能性をうかがわせた。94人が接戦を演じており、ここで勝利できるかが大きなポイントとなる。
立民の枝野代表は、今回の衆院選を「政権選択の選挙」と位置付ける。ただ、現実には政権交代のハードルは高く、自民の単独過半数割れに向けてどこまで議席を増やせるかが焦点となる。立民幹部は「140議席には届くだろう。150議席まで伸ばせるかが一つのラインだ」と見る。
03年衆院選では、立民のルーツとなる民主党が137議席から177議席に伸ばし、2大政党の足がかりを作った。立民の岡田克也・元外相は25日、宮崎県国富町での街頭演説で「与野党伯仲の政治を作ることが選挙のポイントだ。与党は、野党の言うことに耳を傾けざるを得なくなる」と指摘した。
選挙戦最終日の30日、神奈川県や東京都の接戦区を奔走した枝野氏は、横浜市で記者団に「有権者の意識のうねりというものが、加速度的に強くなっている」と手応えを強調した。