茨城県境町――埼玉県と利根川を挟む県境の片田舎で惨劇は起きた。9月23日未明、同町の住宅に住む小林光則さん(48)と妻の美和さん(50)が首や顔を切られ、殺害された。中学1年の長男(13)が両足や顔を切られ重症、小学6年の次女(11)も腕に怪我をし、病院に搬送されている。大学1年の長女(21)は別の部屋にいたことから難を逃れたという。
現場となった小林家 共同通信社
「家は1階、2階ともに無施錠だったことから、犯人は易々と侵入できたと思われる。小林さん夫婦は2階で寝ていたところを鋭利な刃物のようなもので襲われた。次女の証言では催涙スプレーも使われたようだ。現場近くには犯人が使用したと思われる血痕がついたスリッパが捨てられ、家族以外の人物の足跡も見つかっている。室内は物色した形跡がなく、最初から家族を狙った犯行だと推測されている。子供たちは『怖くて動けなかった』と話している」(社会部記者)
小林さん一家は約10年前、埼玉県内から境町に引っ越してきたという。
「この家はもともとお母さん(美和さん)のご実家。お爺さんが亡くなって、『お婆さん一人だと大変だから』ってこっちに越してきた。子供たちは元気によく外で遊び回っていました。お兄ちゃんは野球が好きでチームにも入っていた。
大学生のお姉ちゃんはおとなしい感じの子で、地元の高校を卒業して、今では県外の大学まで車と電車を乗り継いで通っていた。最近は彼氏ができたようで、近所で姿を見かけたこともありました。お婆さんは最近体調を悪くなさったようで、病院に入られたそうです」(近隣住民)
光則さんは実家のクリーニング店を営んでいたが、引っ越しを機に会社勤めをするようになった。美和さんは郵便局に勤めていたという。
この働き者で評判のよい夫婦の一軒家は、雑木林と田畑に囲まれている。一見、地元住民しか知らなそうな田んぼの脇を走る農道の奥に小林家はポツリとある。美和さんの両親は、かつて鯉の釣堀と金魚の養殖を営んでいた。
現場の目の前にも地元で人気の大きな釣堀があり、県外からも多くの釣り客が訪れ、土日は100人を越えるという。
「ちょうど、小林さんの家の前が大きな木陰があるから、平日もたくさんの車が駐車して昼間は不審車両があってもなかなか気付かない。このあたりは10年前にトラクターや農具の泥棒が相次いだり、車の盗難なんかは4、5年前に何度かあった。けど、殺人事件は初めてです。早く捕まってほしい」(同前)
茨城県警は小林家の交友関係を調べるほか、周辺の防犯カメラ映像を確認するなど捜査を進めている。24日には情報提供ダイヤルを設置した。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)