神戸市北区で2017年、親族ら5人を殺傷したとして殺人罪などに問われた無職竹島
叶実
(かなみ) 被告(30)の裁判員裁判の判決が4日、地裁で言い渡される。統合失調症だったとされる被告の事件当時の精神状態や刑事責任能力の有無が争点で、弁護側は心神喪失状態だったとして無罪を主張しているが、検察側は「善悪の判断能力などは残っており、刑事責任は問える」として無期懲役を求刑。裁判所の判断が注目される。(西平大毅)
起訴状では、竹島被告は17年7月、自宅で祖父母を包丁で刺すなどして殺害し、近所の女性も刺殺。母親と近くに住む別の女性も襲い、重傷を負わせたとされる。
今年10月13日の初公判を含めて、これまでの審理は7回。証拠調べなどによると、竹島被告は高等専門学校在学中、成績優秀だったが、大手鉄道会社への就職内定を突然辞退し、中退。アルバイトを経て電子系専門学校に入り、卒業後はシステムエンジニアの仕事に就いたが、半年で退職、事件当時は無職だった。
事件の4日前、竹島被告はインターネットの掲示板で見た数字から高専の同級生だった女性の出席番号を連想。運命的だと感じ、一方的に好意を募らせた。「神社に来てくれたら結婚する」という女性の声の幻聴や妄想にとらわれ、自分と女性以外は人間ではないと思い込み、結婚するためには目についた存在を殺さなければならないと考え、親族らを襲ったという。
竹島被告の母親は法廷で、被告について「精神科を受診したことはなく精神障害だと感じたことはない」と証言したが、検察側、弁護側が精神鑑定を依頼した医師はいずれも被告が統合失調症だったと診断した。
弁護側の医師は「妄想は荒唐無稽で、症状は重い」として、詐病の可能性を否定。「襲った相手は人間ではないという認識で、犯行を思いとどまることはできなかった」と証言した。竹島被告は被告人質問で、「事件の数日後、襲った相手は人間だったと気づいた。幻聴だった。今は投薬治療で落ち着いている。取り返しのつかないことをして、申し訳ない」と謝罪の言葉を口にした。
検察側が鑑定を依頼した医師2人のうち1人は、弁護側の医師と同様に重症だったと診断。もう1人の医師は、被告が事件前、「お母さんに(私と)結婚すると言って」という女性の声の幻聴があったにもかかわらず、母親には話さなかったことや、事件直後に警察官に「大変なことをした」と話したことなどから、「正常な精神も垣間見える」とし、犯行を思いとどまることが期待できる状態だったとの見解を示した。
検察側は2人目の医師の意見をもとに、被告には刑事責任を問えると判断。「責任能力が完全であれば死刑を選択すべきだが、心神耗弱で刑を減軽しなければならない」として無期懲役を求刑している。
判決の言い渡しは4日午後3時に行われる。