「むごいの一言に尽きる」 3歳虐待死、継父と母親に懲役12年判決

福岡県中間市の集合住宅で2020年8月、末益愛翔(すえますまなと)ちゃん(当時3歳)に暴行を加えて死亡させたとして傷害致死などの罪に問われた継父の涼雅(りょうが)(24)と、母親の歩(あゆみ)(23)両被告の裁判員裁判で、福岡地裁小倉支部は5日、両被告に懲役12年(求刑・懲役13年)を言い渡した。井野憲司裁判長は「思いのままにならないという身勝手で理不尽な理由で日常的に暴力を繰り返し、尊い命を奪い去った」と述べた。
井野裁判長は、愛翔ちゃんの遺体に残された外傷の数々などから「虐待に他ならない犯行は、死の結果も含めてむごいの一言に尽きる。無力な幼児として親である両被告から離れようもないまま、暴力にさらされ続けた被害者のつらさ、無念たるや、察するに余りある」と非難。傷害、傷害致死事件の原因となった暴行をどちらが実行したか特定できないとしつつ「両被告の言動が相互に影響し合い、起こるべくして起こった」と指摘した。
歩被告側は公判で、暴行罪は認めた上で「関与は涼雅被告の心理的なドメスティックバイオレンスの影響で半ば強制されたもの」などと主張。傷害と傷害致死の罪については「実行も共謀もしていない」と無罪を訴えていた。
これに対し、井野裁判長は「(愛翔ちゃんを)怒るように頼むなど、涼雅被告の暴行を積極的に誘発、助長、促進していた」と指摘し「共謀が成立していたと推認できる」と退けた。
判決によると、両被告は共謀し、20年7月に愛翔ちゃんに恥骨を折る全治1カ月の重傷を負わせたり、同8月15~16日には頭を打撲する暴行を加え、同27日に急性硬膜下出血に基づく多臓器不全で死亡させた。また、歩被告は同7月、愛翔ちゃんの口にペット用トイレ砂を入れるなどした。【成松秋穂】