【日本の選択】衆院選、注目すべき3つの選挙区 共産と共闘で立民は「完全なる左派政党」と拒否反応 自民党の支持基盤も盤石ではない

今回の衆院選を考える際に、注目すべき選挙区が3つある。
1つ目は茨城7区(古河市など)である。「無敗の男」と評される立憲民主党の中村喜四郎氏が小選挙区で敗れた。比例復活をしたとはいえ、長年にわたって無敗を誇った政治家が小選挙区で敗北した。
この理由は、中村氏が同党に入党した事実と無関係ではあるまい。「無所属であるならば中村氏を応援した」という人々も、共産党と一緒になって戦う立憲民主党に拒絶反応を示したのではないだろうか。「日米同盟を廃棄」し、「自衛隊を違憲だ(=解消)」と言い続ける共産党の主張には決して賛同できないという良識が、多くの日本国民にはある。
2つ目は京都4区(京都市の一部など)である。無所属の北神圭朗氏が、自民党の田中英之氏に小選挙区で勝利した。北神氏は「国家の重要性」「国民の歴史の重要性」を語る点において、保守主義の精神を有した政治家である。
選挙の際にも、北神氏は「反対ばかりの野党では駄目だ」「中国、北朝鮮が虎視眈々と日本を狙うなか、話し合いだけで解決できるはずがない」と安全保障の重要性を熱く語っていたのが印象的だった。自民党には満足できないが、立憲民主党には国政を任せたくないという有権者の思いが保守系無所属の北神氏に寄せられたとみるべきであろう。
3つ目は東京12区(豊島区など)である。ここは自民党の候補者がおらず、公明党の岡本三成氏が勝利したが、注目すべきは日本維新の会の阿部司氏である。阿部氏は、東京の維新の候補者で惜敗率が圧倒的に高く、比例復活を遂げた。
ここで考えてみるべきは、どれだけ自民党の支持層が公明党の候補者に投票したのかということだろう。国政で連立を組むのは理解できるが、自分の貴重な一票を公明党には投じたくないという保守派の期待が、維新の阿部候補に寄せられた可能性が高い。
これら3つの選挙区の分析から浮かび上がってくるのは、「立憲民主党と共産党の共闘」はもくろみ通りには進まなかったという事実だ。共産党と組んだことによって、立憲民主党は「完全なる左派政党」と認識され、穏健なリベラル層の支持を逃してしまった。
そして、自民党の支持基盤も盤石ではないということだ。他に支持する政党がないから自民党に入れておくという有権者が多い。だからこそ、まともな安全保障政策を掲げる北神氏は勝利できた。
また、自民党の岩盤支持層は、公明党には票を投じたくないと考えているということだ。多くの自民党候補者が「比例は公明党」と連呼していたが、実に醜悪な光景だった。
来年の参院選に向けて、自民党は変わらねばならない。「保守主義の精神」を取り戻すことが、実は最も有効な選挙対策なのだ。日本国民の良識をバカにすべきではない。
■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在、大和大学政治経済学部准教授。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。ユーチューブで「岩田温チャンネル」を配信中。