横浜市の旧大口病院で5年前、高齢の入院患者3人の点滴に消毒液を混ぜて中毒死させたとして殺人罪などに問われ、死刑を求刑された元看護師・久保木愛弓被告(34)の判決公判が9日午後1時半、横浜地裁で始まった。家令和典裁判長は主文の言い渡しを後回しにした。
家令裁判長は先月22日の結審の際、「判決宣告は厳粛な法廷で行い、被告人にもよく聞いてもらいたい。結論のいかんにかかわらず、主文は最後に述べたい」と説明していた。
起訴状では、久保木被告は2016年9月15~19日、勤務していた横浜市神奈川区の旧大口病院で、入院患者の興津朝江さん(当時78歳)、西川惣蔵さん(当時88歳)、八巻信雄さん(当時88歳)の点滴に消毒液「ヂアミトール」を混入させ、中毒死させたとしている。さらに別の患者らに投与予定だった点滴5袋にも消毒液を入れたとして、殺人予備罪でも起訴された。
初公判で起訴事実を認めた久保木被告は、患者の家族に責められるのが嫌で、自分の勤務時間外に死亡するよう計算して消毒液を入れたと供述。結審時には「死んで償いたい」と話した。
公判では、被告の責任能力の程度が争点となった。検察側は、精神障害はあったものの影響は極めて小さく、完全責任能力があったと主張。「患者を守る立場にありながら、自己都合のみを考えており、身勝手極まりない動機に酌量の余地はない」などとして死刑を求刑した。
これに対し弁護側は、統合失調症の影響で「善悪を判断して行動を制御する能力が著しく低下していた」と訴え、無期懲役を求めた。