岡山県津山市で2004年、小学3年の女児(当時9歳)を殺害したとして、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた無職、勝田州彦(くにひこ)被告(42)の裁判員裁判が10日、岡山地裁(倉成章裁判長)であり、検察側の被告人質問があった。勝田被告は全ての質問に対して無言を貫いた。午前10時に開廷し、午後5時まで予定されていた審理は30分ほどで終了した。
検察官からは、犯行をしていないのに(「自白」の参考にしたという、事件を紹介する)テレビ番組の内容をなぜ覚えていたのか▽女児宅の間取りなどはテレビ番組と同じなのに、なぜ首の絞め方は違うのか――など計5問の質問があったが、勝田被告は一切答えず、まっすぐ前を向いたままだった。
これに対し、倉成裁判長が「黙秘される?」と尋ねると、勝田被告は「はい」「答える気はありません」と述べた。倉成裁判長は「これ以上質問を重ねる必要性はなく、相当ではない」としたうえで、「訴訟指揮権に基づき、質問を許さない」として質問を打ち切った。検察側は異議を申し立てたが、却下された。
起訴状によると、勝田被告は04年9月3日、津山市内の女児宅にわいせつ目的で侵入。女児の首を絞めた際に抵抗され、刃物で刺殺したとされる。今年10月6日の初公判では「絶対にしていない。現場にも行っていない」などと無罪を主張した。
勝田被告は弁護側の被告人質問には答えたが、8日の公判の終了間際、検察側の被告人質問について「弁護士と相談して完全黙秘します」と発言していた。裁判官らの質問には答える意向を示している。【岩本一希】