在宅起訴の木下都議、都庁へも無免許運転か 地検「常習性」考慮

7月の東京都議選期間中などに無免許運転を7回繰り返したとして、東京地検は19日、木下富美子都議(55)を道路交通法違反(無免許運転)で在宅起訴した。いずれも別の交通違反で運転免許停止の処分を受けた期間中に運転していた。地検は常習性が高いと判断し、罰金を求める略式起訴ではなく、在宅起訴を選択したとみられる。
起訴状によると、木下都議は今年5月29日から都議選投開票日2日前の7月2日まで、東京都板橋区と新宿区で計7回、無免許運転をしたとしている。地検は認否を明らかにしていない。関係者によると、新宿区での4回は都庁への出退勤が映った防犯カメラで確認されたという。無免許運転の法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金。
7月2日の無免許運転の際に人身事故を起こして逃走した疑いでも書類送検されたが、地検は自動車運転処罰法違反(過失致傷)容疑を起訴猶予、道交法違反(事故不申告)容疑は容疑不十分でいずれも不起訴処分とした。「事故態様を考慮した」と説明している。
木下都議は2017年に板橋選挙区で初当選。今年7月に再選した。当選翌日に選挙期間中に無免許で人身事故を起こしていたことが発覚。その後は公の場に姿を見せず、都議会は2回にわたり辞職勧告決議案を可決した。木下都議は今月9日に都議会を訪れ、報道陣の取材に謝罪したものの議員辞職は否定した。【二村祐士朗、松尾知典】
「議場外」の行為、議決で除名困難
木下都議が在宅起訴され、無免許運転を繰り返していたことが判明した。木下都議は議員を続ける意向とされるが、都庁や都議会から改めて非難の声が上がった。
木下都議に対し、都議会は24日の議会運営委員会に出席し、質疑に応じるよう求めている。議運委の小宮安里委員長(自民)は19日、「極めて悪質であり、即刻辞職すべきだ」と話した。
木下都議を巡り、議会局には19日までに都民らから5700件を超える苦情が寄せられた。ある職員は「都議会の本会議前の重要な時期なのに、木下都議の問題の対応で仕事が進まない」。都幹部も「職員も予定が立たず、振り回されている」とあきれた表情だ。
議会局などによると、地方公務員法は、職員が刑事事件で起訴された場合は休職させることができるとしているが、議員は特別職でこの規定に該当しない。公職選挙法上は禁錮以上の実刑判決が確定するまでは議員を続けることができる。また地方自治法には、同法や会議規則に違反した議員に対し、定数の3分の2以上が出席した議会で4分の3以上の同意があれば、議決により除名できるとの規定がある。ただし一般的に議場内の議会運営に関わる行為が対象とされており、都議会内では木下都議への適用は難しいとの見方が強い。
ある都議は「辞めるべきだと本人に言い続けるしかない」。別の都議は「法令違反を重ねた人が神聖な場である議会に立つことは許されない」と断じた。【斎川瞳、黒川晋史、竹内麻子】