「元国会議員なので許可得られる」山内元議員、肩書使い28億円出資引き出しか

羽田空港の格納庫の売買を巡る資金流用事件で、業務上横領容疑で逮捕された元参院議員の山内俊夫容疑者(74)が、不動産関連会社側に事業への出資を持ちかける際、「元国会議員なので、格納庫の営業許可をすぐに得られる」などと話していたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、山内容疑者が元議員の肩書を利用して出資を引き出したとみている。
山内容疑者は2019年3月、自身が実質経営していた合同会社「羽田空港格納庫」(東京都渋谷区)の資金約1億円を不正に流用したとして、28日に同容疑で逮捕された。
捜査関係者によると、山内容疑者は18年頃、高松市の不動産関連会社「マルナカホールディングス」に対し、「50億~60億円で転売できるのでもうかる」などとして、羽田空港にあるビジネスジェット用格納庫の購入を持ちかけた。
この格納庫は当時、前所有者が土地使用料約2億8000万円を滞納して営業許可を取り消されていたが、山内容疑者はマルナカ側に「元国会議員の自分が国土交通省と交渉すれば、格納庫の営業許可をすぐに得られる」と説明したという。
マルナカは18年春、格納庫の購入資金として合同会社に28億円を出資。合同会社は実際に格納庫を購入したが、滞納分の土地使用料にあてられる予定だった資金の一部を山内容疑者が流用し、第三者への転売話は進まなかったという。