ドン逮捕で“田中王国”崩壊 日大の混迷、長期化か イエスマンぞろい「恐怖政治」の組織支配から「ウミが出たのでは」

5期13年にわたり日本大学理事長に君臨し、「日大のドン」と呼ばれた田中英寿容疑者(74)が、所得税約5300万円を脱税したとして、東京地検特捜部に所得税法違反の疑いで逮捕された。起訴されれば理事長の座を追われるのは確実だが、幹部はイエスマンぞろいとされ、“田中王国”崩壊後の大学運営は混迷が長期化するとの見方もある。
逮捕容疑は、医療法人前理事長、籔本雅巳被告(61)=背任罪で起訴=らから受領したリベート収入などを除外して確定申告書を提出。2018年と20年分の所得計約1億2000万円を隠し、計約5300万円の所得税を免れた疑い。田中容疑者は「現金を受け取っていない」と容疑を否認しているという。
田中容疑者は青森県出身で、日大相撲部時代に学生横綱となり、1年後輩で後に大相撲で横綱となる輪島より強かったという評もある。卒業後も大学職員としてアマ横綱に3度輝いたほか、相撲部監督として多くの力士を大相撲に送り込んだ。
1999年に理事、2002年に常務理事に。業者からのキックバック受領などの疑惑も取り沙汰されたが、08年に理事長に就任した。さらに総長ではなく理事長をトップとする制度に変更、反対意見を唱える理事らを左遷するなど権力を強固にし、大学の自浄作用は働かなくなった。
ある日大幹部は「本部の幹部が経営方針に異を唱え、地方の高校のグラウンドキーパーに左遷されるのを見てきた。恐怖政治で組織が成り立ち、誰も何も言えなくなった」と語る。
日大の運営は変わるのか。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「幹部はほぼ“田中派”で占められており、今後の再建を主導する人材がいるわけでもない。短期的な再建は相当難しく、混乱は避けられないのではないか」と指摘する。
一方、大学入試への影響について、大学通信の安田賢治常務は「イメージダウンは避けられないが、ウミが出たという考え方もできるのではないか」と述べ、限定的との見方を示した。