自民・石破派、わずか6年で幕切れ…求心力低下で「緩やかな議員グループ」に

自民党石破派(12人)は2日、国会内で臨時総会を開き、派閥を解消し、緩やかな議員グループに移行することを決めた。石破茂・元幹事長を首相に押し上げる目的で2015年に発足したが、総裁選敗北などで石破氏の求心力は低下し、わずか6年での幕切れとなった。
石破氏は、総会後の記者会見で「組織形態を派閥からグループに改める」と表明。理由については「派閥として総裁選などにエネルギーを費やしてきた。政策を考えることに集中したい」と語った。今後は、憲法や安全保障、人口減少などのテーマごとに有志による勉強会を定期的に開催する考えを示した。
今後の総裁選出馬に関しては、「何を実現するのか、きちんと決めることが大事だ。(総裁を)目指す、目指さないという議論ではない」と述べるにとどめた。
同派は15年9月、12年総裁選で石破氏を支持した議員らによる「無派閥連絡会」を母体に20人で発足した。政策通の議員が多く、非主流派ながら安倍・菅内閣では、斎藤健・元農相や田村憲久・前厚生労働相らが閣僚に起用された。
知名度の高い石破氏だが、党内の支持は一向に広がらなかった。3度目の出馬となった18年9月の総裁選では、安倍首相(当時)に一騎打ちで敗北。派内の反対論を押し切って出馬した昨年9月の総裁選は、菅官房長官、岸田政調会長(いずれも当時)と争い、最下位に終わった。
石破氏は派閥会長を引責辞任し、石破派は集団指導体制で再スタートしたものの、伊藤達也・元金融相や山本有二・元農相ら退会者が相次いだ。今年9月の総裁選に石破氏は出馬せず、河野太郎広報本部長の支援に回った。10月の衆院選後は所属議員が12人まで減り、総裁選に立候補するのに必要な推薦人20人を大きく割り込んだ。
今後の派閥運営に関する判断を一任された石破氏は、所属議員と個別に意見交換を重ねた。「集まりを継続すべきだ」との声がある一方、「派閥やグループから一切離れたい」との意見も出たという。一部の議員はグループを離れる見通しだ。
石破派の解消に伴い、党内の派閥は六つとなった。