岐阜県高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で2017年、入所者の高齢女性2人に暴行を加えて死傷させたとして、傷害致死罪などに問われた元職員小鳥剛被告(36)の裁判員裁判の初公判が2日、岐阜地裁(出口博章裁判長)であった。同被告は「いずれも私はしていません」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。
事件と被告を結び付ける直接証拠はなく、検察側による状況証拠の積み重ねを裁判員がどう判断するかが焦点となる。判決は来年3月8日に言い渡される予定。
冒頭陳述で検察側は、防犯カメラの映像などから、事件が起きた時間帯に小鳥被告が居室で女性と二人きりだった上、業務で最後に接触した職員と主張。いずれも重い認知症で、被害を申告するのが困難な事情を知っていたと指摘した。
弁護側は、女性2人が重度の骨粗しょう症だったことから、「傷害は介助行為で上半身に圧力がかかったことによる事故」と反論。いずれも1分や3分弱の短時間で介助業務と暴行をするのは難しいと訴えた。
[時事通信社]