事故に遭った車から消防・病院へ自動通報…対応車は300万台到達、救命事例も増加

事故に遭った車から衝撃度や位置が自動通報され、ドクターヘリや救急車が出動する救急システム「D―Call Net(ディーコールネット)」の普及が進んでいる。対応する車は約300万台に達し、救命事例が増え、ドライブレコーダーを活用した新たな仕組みも検討されている。

茨城県取手市で昨年、システムに対応する通信装置が内蔵された乗用車の自損事故が発生。瞬時に前方が大破した車から専用サーバーに位置、衝突の向きや激しさ、シートベルト着用の有無などが自動通報された。
サーバーが過去約280万件の事故データから推定した乗員の死亡・重症率は84%。これらの情報は現場近くの消防本部とドクターヘリ基地病院に送信され、救急車とヘリが急行した。
事故の28分後、医師同乗のヘリが到着。助手席の70歳代の女性が胸や腰にけがを負い、危険な状態に陥っていたが、空路で救急搬送され、一命を取り留めた。
女性が入院した日本医科大千葉北総病院救命救急センター(千葉県)のフライトドクター、本村友一医師(44)は「救急車の到着後、ヘリを要請していれば、医師の治療開始が15分程度遅れ、命を失った可能性がある」と指摘する。

システムはNPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク(ヘムネット)」などが2015年に試験運用を始め、18年、30道県36病院と連携して本格運用がスタート。現在は43道府県61病院に拡大し、724か所の消防本部ともつながっている。
当初、自動車メーカーはトヨタ自動車とホンダの2社だったが、19年3月、日産自動車、マツダ、SUBARU(スバル)も加わった。対応車種が増え、今年9月末時点で全国の乗用車保有台数約6200万台のうち、約300万台に通信装置が搭載されている。