「おまけ」の化石、新種ワニだった 展示から四半世紀たって発見 群馬

群馬県立自然史博物館(富岡市)で1996年から展示・保管されていた約1億5500万年前(ジュラ紀後期)のワニの祖先とされる化石(全長約3メートル)が、新種だったことが明らかになった。米国の同じ地層から発掘された恐竜の化石を同県が買い付けた際に「おまけ」で付いてきたもので、93年の発掘から四半世紀を過ぎた発見に、同館の高桑祐司・地学研究係主幹は「すごいおまけでした」とびっくりしていた。
福島県立博物館(会津若松市)などで作るチームが研究を進めて解析し、英国王立協会の科学誌で8日発表された。化石は、ワニの祖先とされる「ゴニオフォリス類」の新種で、発掘に携わった研究者にちなみ、「アンフィコティルス・マイルシ」と命名された。
チームリーダーの福島県立博物館の吉田純輝学芸員(30)が大学院生だった2017年に自然史博物館に展示されていたワニの化石の研究を開始。高桑氏によると、これまで国内にはワニの専門家がいなかったため、詳細な調査まではしないまま展示を続けていたという。
化石は93年に米ワイオミング州で恐竜「カマラサウルス」など複数の化石と同じ地層から発掘された。吉田氏らは、北米などで発掘された同じグループの化石を比較調査し、幅広い口先や鼻孔などの特徴を見つけ、新種の裏付けを取った。さらに新種の化石は、現在のワニと同じように喉を塞いで水を飲まないようにする舌の弁を持っていたことを骨の研究から解明。陸生だったワニの祖先が、この時期にすでに水に適応していた可能性を初めて提唱した。
自然史博物館では、これまでカマラサウルスの全身骨格を常設で展示し、その足元に「ゴニオフォリス類の化石」として頭部のみ常設展示していた。メインはあくまでもカマラサウルスだ。ただ、発掘者から「カマラサウルスと一緒に見つかったものなので、ぜひ一緒に収蔵してほしい」と伝えられていたため、「おまけ」でも、しっかり保存していたことが新発見につながった。高桑氏は「ほぼ全身の骨がそろっているので重要な化石とは思っていた。新種だと分かり、すごくうれしい」と声を弾ませた。自然史博物館では早速、8日から新種の学名に表題を差し替えた。
記者会見した吉田氏は「研究のバトンをつなぐことができた。まだまだ謎が多く、これからも調査を続けたい」と話していた。
自然史博物館では22年1月22日から全身の化石を展示する。福島県立博物館では22年度以降の展示を予定している。【三浦研吾】