鹿児島県十島村の悪石島で9日午前11時5分ごろ、震度5強を観測する地震があった。負傷者や大きな被害は確認されていない。悪石島では4日以降地震が頻発しているが、一連の地震で震度5以上は初めて。震度5強を観測したのは2000年10月以来という。揺れの強かった地域では落石や崖崩れなどの危険性が高まっており、気象庁は今後の地震活動への注意を呼びかけている。この地震による津波の心配はない。
十島村の肥後正司村長は9日、十島村役場(鹿児島市)で記者会見し、震度5強を観測した悪石島の住民(37世帯75人)のうち10世帯33人を島外避難させる考えを示した。
気象庁によると、震源地はトカラ列島近海で震源の深さは約14キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・1と推定される。悪石島の他の十島村の震度は小宝島で震度4、諏訪之瀬島で震度3。同県奄美市でも震度3を観測した。
トカラ列島近海では4日午後から地震活動が続き、9日午後6時までに震度5強が1回▽震度4が2回▽震度3が13回――など、震度1以上を計248回観測。今回の地震のメカニズムについては分からないことが多く、福岡管区気象台は「(周辺は火山帯だが)火山との直接的な関係はないと考える」としている。
地震の検知力が上がった1994年以降、トカラ列島近海では度々、活発な地震活動が確認されている。過去には大小の地震が頻発して回数が少なくなった後も終息せず、断続的に地震が起きたこともあった。気象台は当面、同規模程度の地震が起きる可能性があるとしている。【山崎あずさ、宗岡敬介】
「地震続けば授業できない」
今回の地震で大きな被害は確認されなかったが、相次ぐ地震に悪石島の住民らは不安を募らせている。
十島村立悪石島小中学校は地震時、授業中だったが、児童・生徒9人は机の下に避難し、揺れが収まった後に教職員と一緒に校庭に移動した。村の有村孝一教育長は「校長室の額縁が落ちたり、学校周辺の道路に被害が出たりしたと聞いている。今回のような地震が頻繁に続くようなら校舎内で授業はできない」と話した。
地震当時、悪石島出張所にいた女性所長は「縦揺れと横揺れの両方を感じ、出張所ではいすの上の書類が床に散らばった。島民のほとんどが小中学校の校庭に避難してきた」と振り返った。島に住む60代女性も「強い揺れで食器が落ちて散乱した。いつ地震が来るか分からないので夜が不安です」と訴えた。
悪石島から約37キロ南西の小宝島(34世帯68人)では震度4を観測した。村立小宝島小中学校では授業中の児童・生徒と教員計23人が近くの住民と校庭に避難した。東哲朗教頭は「一番怖いのは津波。いつ大きな地震が起きても対応できるように、津波が来る時は近くの山に避難する意識を高めたい」と語った。【城島勇人、比嘉洋】