《内閣官房参与辞任》石原伸晃の「ナマポ発言」、高木毅の「パンツ泥棒」…岸田人事がほじくり返した“過去”とは?

石原伸晃氏、内閣官房参与を辞職。
こないだ選挙に落ちたばかりだというのにこれだけ短期間に1人で「殉職」しまくる石原軍団も珍しい。
私は以前から「この10年間の政界を動かしているのは石原伸晃である。ただし本人の知らないところで」説を唱えていました。おさらいします。
まず2012年の自民党総裁選。当初「本命」とも言われたのは石原伸晃氏でした。しかし失言などで失速。逆転で当選したのは安倍晋三氏。「安倍一強」の流れをつくった石原伸晃。
れいわ新選組の礎もつくった伸晃
そのあとの衆院選、遂に父親の石原慎太郎(東京都知事)が国政復帰を表明。伸晃がピリッとしないから第3極の波が起きた。今の維新にも連なる流れをつくった石原伸晃。
自分の選挙区(東京8区)には俳優の山本太郎が「打倒石原伸晃」を宣言して出馬。その1年後に山本氏は政界入り。れいわ新選組の礎もつくった石原伸晃。
圧巻は2016年東京都知事選だ。小池百合子が立候補して自民党東京都連にケンカを売った。当時の都連会長は石原伸晃。伸晃ら相手のケンカで人気を得た小池は翌年「希望の党」騒動を起こす。その流れで立憲民主党や国民民主党が生まれた。石原伸晃が大事な働きをしていた。本人の知らないところで。
比例復活もできない惨敗のはずが…
そして先日の衆院選である。東京8区に山本太郎が石原伸晃へのリベンジで出馬を宣言するも吉田晴美に一本化すべきではないのかと論議が高まった。「野党共闘」を巡り一気に注目選挙区となったのだ。伸晃すごい!
この選挙で石原伸晃は比例復活もできない惨敗。しばらくその姿を見ることはないだろう。「伸晃天動説」は封印のはずだった。ところが……。
『岸田首相、内閣官房参与に石原伸晃氏起用 衆院選で落選』(毎日新聞WEB12月3日)
伸晃は帰ってきた! すると「お友達の救済ではないか」「選挙の結果とは何なのか?」という熱狂をSNSで起こした。さすがである。
参与には3種類ある。伸晃の場合は?
ある参与経験者は「参与には3種類ある」と語っていた(朝日新聞12月4日)。
(1)官僚が退職後も重要政策を担う場合 (2)学者らが専門的知見をもとに首相に助言をする場合 (3)「失業対策」
今回の正解はどう見ても(3)だ。
かつて伸晃氏はニュース番組で生活保護のことを「ナマポ」とネットスラングを使った。生活保護を軽視する態度を隠さなかった。そんな自分が今度は「身内の失業対策」と呼ばれる処遇を受けたのである。伸晃の問題提起はさらに続いた。「助成金」である。
自身が代表を務める政党支部が昨年、コロナの影響を受けた事業者を対象とする国の緊急雇用安定助成金・雇用調整助成金を受給していたことが報道された。政治団体は寄付などが主な収入源であり、民間企業に比べて増減がコロナによるものかどうかは判別しづらい。なので《政府・与党内では「世論の理解は得られない」(首相周辺)との見方が大勢》(読売新聞12月11日)となったのである。
そして冒頭に挙げたように『自民 石原元幹事長 内閣官房参与辞職 雇用調整助成金受領で』(NHK12月10日)。
するとどうだ、とたんに政界が動き始めた。
『大岡環境副大臣 自民党支部への雇用調整助成金 返金へ』(NHK12月10日)
大岡氏は当初、返還する理由はないと説明していたが石原伸晃氏の内閣官房参与辞任を受け一転した。やはり政界を動かしているのは石原伸晃なのである。
岸田人事で転落していく人々
今回の件ではコロナ感染の際にすぐに入院して「優遇」「上級国民」と批判された伸晃の過去を多くの人が思い出したのも相乗効果になってしまった。つまり、くすぶり続けているネタをもともと抱えていたのだ。そんな人が岸田首相に指名されて転落していく。
この感じ、実は既視感がある。どこかで見たぞ、なんだっけ……? わかった、甘利明氏の自民党幹事長の就任だ。
思い出そう。甘利氏は岸田政権発足後に幹事長に指名されたはいいが、2016年に経済再生担当相を辞任した金銭授受問題を巡り「国会で説明がされていない」と再び火がついた。その声は選挙にも直撃。焦った甘利氏は「私がいなければ日本は立ちゆかない。経済界は全員わかっている」とまで演説。しかし小選挙区で落選。
「岸田ノート」の正体は
こうしてみると岸田首相は過去に炎上した人物を指名して「またその過去を注目させる」ことが得意なようである。総裁選では国民の声を書きためているという「青いノート」を披露していたが私はあれが「デスノート」に見えてきた。名前を書いた人間に引導を渡す岸田デスノートに。
岸田デスノートの例は他にもある。
甘利氏のあとに幹事長に就任した茂木敏充氏は写真週刊誌に「茂木氏にキレられないために官僚が作成していたマニュアル」を暴露された。これは2年前にも週刊誌に報道されていたネタだった。茂木氏は過去を掘り起こされて恥をかいたのである。
高木毅には「下着ドロボー」の過去
さらに国会対策委員長に起用された高木毅氏は過去の「下着ドロボー」報道があらためて注目された。そして直近で過去をほじくり返されたのが石原伸晃氏ということになる。なんだこの流れは。
念のために岸田首相の言葉を振り返ってみたら今回の石原伸晃起用についての説明がすごかった。
「政治を動かす意味でも、大変大きいものがあると判断した」
ああ、たしかに動かしてしまった。伸晃天動説と連動して伸晃にトドメを刺してしまった。これは意図的なのか、天然なのか。
これはつまり「決めたことがひっくり返ることが多い。こういうことが続くと支持率が下がりかねない」(自民党関係者・毎日新聞12月11日)ということでもある。13日には10万円給付について「現金で年内一括給付も選択肢」との方針転換を言いだした。
政治を動かすって、いろいろひっくり返ってドタバタすること?
岸田デスノートというかあの青いノート、もう使わないほうが良いのでは。
(プチ鹿島)