北朝鮮による拉致被害者・田口八重子さん(拉致当時22歳)の兄で、被害者家族会前代表の飯塚繁雄さんが18日未明、埼玉県上尾市内の病院で亡くなった。83歳だった。飯塚さんは11月中旬に体調を崩して入院していた。被害者の帰国を待ち望む家族の願いは、またも届かなかった。
2002年9月の日朝首脳会談で北朝鮮が日本人拉致を認め、田口さんら8人を「死亡」と説明した直後、家族会に加わった。横田めぐみさん(同13歳)の父・滋さん(2020年6月に87歳で死去)に代わり07年11月から代表を務め、各地の集会で被害者の早期救出を訴えてきた。
米国のトランプ前大統領やオバマ元大統領とも面会し、協力を要請。先月13日に都内で開かれた「国民大集会」では、壇上で「拉致問題を絶対に諦めるわけにはいかない。一致団結して解決に向けて進みたい。我々家族だけでなく国民全体の思いだ」と語っていた。今月11日に家族会の代表を退任していた。
田口さんは1978年6月、長男の耕一郎さん(44)ら子ども2人を東京都内のベビーホテルに預けたまま行方不明となった。飯塚さんは幼かった耕一郎さんを引き取り、「飯塚家の次男」として育ててきた。2009年3月には耕一郎さんとともに、北朝鮮で田口さんから日本語を教わった大韓航空機爆破事件(1987年11月)の実行犯・
金賢姫
(キムヒョンヒ) 元工作員(59)と韓国・釜山で面会した。
耕一郎さんは「(田口さんとの)再会がかなわなかったことが無念であり、非情な結果となってしまいました。もう少し何かできなかったものかと悔悟し、この悲しみ怒りをどうすべきかと考えています」とのコメントを出した。
葬儀は近親者で行い、後日、「お別れの会」などを開く予定。