大阪市北区曽根崎新地のクリニックで起きた放火殺人事件で、クリニック内の消火栓の扉が開かないよう補修材のようなもので固定されていたことが、捜査関係者への取材でわかった。クリニックの非常扉の外側には目張りのように粘着テープが貼られていたという。谷本盛雄容疑者(61)が施したとみられ、大阪府警は、消火活動を遅らせ、患者らを一酸化炭素(CO)で充満した密閉空間に閉じ込めることで、大勢を殺害しようとしたとみている。
谷本容疑者宅からは「消火栓を塗る」「隙間をどう埋めるか」などと書かれたメモが見つかっており、入念に計画していた可能性がある。
火災は17日午前10時20分頃、雑居ビル4階の「西梅田こころとからだのクリニック」で発生。府警によると、谷本容疑者は受付付近で、ガソリンにライターで火を付けたとされる。
クリニックの出入り口は、受付近くのエレベーターと、非常階段につながる扉の2か所。奥にはなかった。捜査関係者によると、事件後の現場検証で、消火栓の扉の隙間が補修材のようなもので開かないように細工されていたという。府警は事件前に何らかの方法で谷本容疑者が侵入したとみている。消火栓内には通常ホースなどが入っているが、火災時に使用されることはなかった。
また、非常扉の外側に貼られていたテープはスタッフが17日朝に見つけ、はがしたという。谷本容疑者宅に壁などの隙間を埋める工具も残されていたという。
府警は21日、病院で治療中だった20歳代の女性が死亡したと発表した。死者は25人になった。死因が確定したのは24人で、いずれもCO中毒だった。
一方、谷本容疑者宅からは2019年に36人が亡くなった京都市伏見区の京都アニメーション放火殺人事件に関する今年7月の新聞記事を押収。徳島市のビルで3月、地元アイドルグループのライブ中に起きた放火事件の記事もあった。「放火殺人」と手書きされたメモも見つかったという。
京アニ事件では、殺人罪などで起訴された青葉真司被告(43)がガソリンスタンド(GS)で購入したガソリンを使って放火。徳島の事件で逮捕された男もガソリンをまき、「京アニ事件をまねた」と述べていた。
谷本容疑者は11月下旬、GSで本人確認書類を示し、「バイクに使う」と説明して購入したガソリンを事件に使ったとみられる。府警は、過去の放火事件に関心を持ち、手口を模倣したとみている。