容疑者の死因は一酸化炭素中毒に伴う蘇生後脳症 大阪ビル放火

大阪市北区の雑居ビルに入るクリニックで院長の西沢弘太郎さん(49)ら男女25人が殺害された放火殺人事件で、大阪府警は31日、死亡した谷本盛雄容疑者(61)の遺体を司法解剖した結果、死因は一酸化炭素(CO)中毒に伴う蘇生後脳症だったと発表した。谷本容疑者は事件当時、院内にいた患者らを奥の部屋に追い込んだとされ、煙を大量に吸い込んだことでCO中毒になったとみられる。
府警によると、谷本容疑者は心肺停止状態で発見され、大阪市内の病院に救急搬送された。顔や手足に重いやけどを負ったほか、CO中毒に陥った。集中治療室でいったん蘇生したが、それまで脳に十分な酸素が行き届かなかった影響で重大な障害を負った。意識不明の重体が続き、30日夜に死亡が確認された。
谷本容疑者は17日午前、雑居ビル4階の「西梅田こころとからだのクリニック」の受付付近で放火し、西沢さんらを殺害した疑いが持たれている。4階から運ばれた女性1人は今も重篤な状態が続いている。
しかし、容疑者の死亡で逮捕や起訴の手続きは取られず、刑事責任を問うことはできなくなった。今後は、府警が客観的な証拠の積み上げや関係者への事情聴取を通じ、動機の解明をどこまで進められるかが焦点になる。
谷本容疑者は事件の約1カ月前から、家族とかつて暮らした大阪市西淀川区の民家に滞在し、本格的に準備を始めたとみられる。室内からは「大量殺人」と手書きされたメモやガソリンなど、周到に計画を立てていたことをうかがわせる多数の「物証」が押収されている。
一方で、クリニックで多数の人を巻き込もうとした理由は今も謎のままだ。谷本容疑者は数年前から通院していたが、クリニック側と明確なトラブルは確認されていない。府警は今後、電子カルテのデータ復元や関係者への聴取などから動機に迫る捜査を進めることになる。
府警捜査1課は31日、「被害者やご遺族に寄り添いながら事件の真相究明に向けて徹底した捜査を進めていきます」とのコメントを公表した。【安元久美子、郡悠介】