今年4月から「18歳」の位置づけが大きく変わる。成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が施行。親の同意を得なくても携帯電話の契約をする、クレジットカードをつくるなどが可能になる。合わせて少年法も改正され、事件を起こした18、19歳を厳罰化。すでに18歳以上に引き下げられている選挙権とともに「大人」としての自覚や行動が求められる。特に、身近な消費者契約では正しい知識を身につけるよう啓発が進む。
改正少年法も紹介
大阪府消費者教育学生リーダー会は、18歳成人を説明する高校生向けのリーフレットを作成した。年初から府立高校を中心に配布する。民法と同時に改正される少年法にも触れ、18歳の法的責任が変わることも打ち出している。
学生リーダー会は、大阪府が平成28年から始めた消費者啓発のボランティア活動。府内や近隣県の大学生が約3カ月の養成講座を経て、参加している。
リーフレットでは「その選択が人生を変える」とし、メンバーらが実際に被害に遭いかけたマルチ商法などをあげ、注意を促す。
また、改正少年法で18、19歳は「特定少年」と位置づけられることも紹介。起訴された場合、実名報道される可能性もあることなどに触れた。消費者契約での注意点だけでなく、改正少年法を盛り込むことはメンバーがこだわった。和歌山大3年の米澤悠さんは「成人はそれだけ責任が重くなるということを意識してほしい」と呼びかける。
高校生向けマルチ商法解説
京都府消費生活安全センターは、18歳以上の若者がマルチ商法など消費者トラブルに巻き込まれるのを未然に防ごうと、リーフレット「18歳成年応援ブック」を作成し、府立高校の3年生全員に配布した。
リーフレットは全7ページでマルチ商法のほか、お試し購入や賃貸借トラブルなどについて、手口や対処法などをイラストを使って解説。クーリングオフ制度にも触れている。さらに各トラブルに関する動画(5~6分)も作成し、府ホームページで配信している。
センター企画・啓発係の門田佳恵さんは「学校のロングホームルームなどで活用してほしい」と話す。約50分の授業を想定してリーフレットと動画を使ったプログラムを提案している。
消費者トラブル 未然に防げ
「初回0円」。その商品、定期購入かもしれません―。これは奈良県消費生活センターと県内の大学生らがタッグを組んで作成した消費者トラブル防止の啓発ブックの中の一文だ。
高校生向けと大学生向けの2種類。担当者は「若者につくってもらうことで、より身近な内容になっている」と話す。県内の高校に約1万枚、希望する大学にも配布し、消費者被害の未然防止や早期発見につなげるのが狙いだ。
オンラインゲームを通じたネット上のトラブル事例や対処法をイラストなどで解説。クイズ形式で「消費者力」もチェックできる。今春以降、啓発ブックを使った大学生の出前授業も検討する。担当者は「若者には契約を簡単に考えず、契約責任が発生することを自覚してほしい」と話す。
子と一緒に親世代も学ぼう
和歌山県では成人年齢の18歳への引き下げに伴い、親世代も含めた消費者トラブルの啓発サイト「今日からO(オトナ)―18」を開設した。県内では高校卒業時に都市部への進学や就職などで親元を離れるケースが多いため、新たな啓発手段として企画した。
啓発サイトでは、18歳になれば変わることを具体的に紹介。社会経験の乏しい若者を狙った悪質商法などの増加が懸念されているとして、実際の消費者トラブルの相談事例も踏まえ対処法などを解説している。
さらに、気軽に相談できる消費者ホットラインの番号も案内している。
県の担当者は「親元を離れても気軽に相談できるように、親子の絆を強めてトラブルを未然に防止してほしい」と話している。
ローン契約 動画で注意
滋賀県消費生活センターは、啓発動画「『成年(おとな)』になるということ」を作成し、動画投稿サイト「YouTube」に掲載した。
動画は7分40秒。4月1日以降は18歳で親の同意がなくても賃貸やローンなどの契約ができる一方で、親の同意なく結んだ契約を取り消せる対象年齢から外れることを紹介。望まない高額契約を結ばされる恐れなどを示し、契約内容をよく確認するよう求めている。
令和2年に同センターに寄せられた19歳からの相談件数は105件だが、20歳からの相談は151件と約1・5倍となり、成年を境に相談が急増する傾向がある。同センターは「できることが増えれば同時に責任も伴う。『私は大丈夫』と思う人も契約の際には一度立ち止まり、本当に必要な契約かをよく考えてほしい」と話している。
LINE相談 実証実験開始
18、19歳が架空請求や悪質商法などのターゲットとなることが懸念されることから、兵庫県は消費者庁と連携し、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で消費生活相談に応じる実証実験に乗り出した。
県によると、県内の消費生活相談窓口に寄せられた苦情相談は令和2年度、19歳が279件(平均支払額約9万5千円)だったのに対し、20歳では489件(同約30万9千円)。成人直後に急増する傾向があるという。未成年者が親の同意を得ずに結んだ契約は取り消せるという権利が行使できなくなるためだ。
成人年齢の引き下げでトラブルが多発する可能性もあり、県は「何かあったときには早めに相談してほしい」。実証実験は1月29日までだが、高校や大学での出前講座などで引き続き啓発に努めたいとしている。