不出廷の被告に遺族「本当の気持ち語って」 富山交番襲撃の控訴審

富山市の交番で2018年、警察官を刺殺し、奪った拳銃で警備員の男性を射殺したとして強盗殺人罪などに問われた元自衛官、島津慧大(けいた)被告(25)の控訴審初公判が11日、名古屋高裁金沢支部で開かれた。無期懲役を言い渡された1審・富山地裁の裁判員裁判で沈黙を貫いた被告はこの日出廷せず、即日結審した。
「一度は自ら語るべきでしょう。それが彼に唯一できること」。閉廷後、遺族は落胆の声を漏らした。奪った拳銃で警備員を射殺したとして強盗殺人罪などに問われた島津被告。沈黙を貫いた1審に続き、控訴審では法廷に姿を見せぬまま結審した。公判で本人の口から何も語られない状況が続いている。
射殺された警備員、中村信一さん(当時68歳)の妻は事件後、謝罪が聞きたくて島津被告に面会したが、被告から出た言葉は「遺族に対して悪いとは思えない」という心ないものだった。それでも、「被告に全てを聞いてもらいたい」と公判での陳述に向けて手記をまとめ、島津被告が事件の全容を語ることを望んでいた。
しかし、21年1月に始まった富山地裁の公判で、島津被告は一切、質問に答えず沈黙を通し、自ら控訴した。中村さんの妻は「何かを語ってくれるといい」と控訴審にわずかな期待を寄せていた。
この日、中村さんの妻は被害者参加制度で法廷に入り、検察官の隣に座った。しかし島津被告は出廷せず、事件の真相はおろか、控訴した理由すら聞くことはかなわなかった。閉廷後、「被告自身が控訴した以上、彼の本当の気持ちを、この場に立って語るべきではないか」とやりきれない様子で話し、裁判所を後にした。【砂押健太、高良駿輔】