東京都、病床使用率20%でまん延防止、50%で緊急事態要請へ

東京都の小池百合子知事は13日、新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」を国に要請する時期について、病床使用率が20%に達した段階を目安とする方針を示した。50%に達した場合は緊急事態宣言発令の要請を検討する。13日時点の病床使用率は15・1%で、近く20%に達する可能性がある。都は重点措置を要請する場合、近隣県とも歩調を合わせる方向で調整している。
こうした方針は、感染が急拡大する変異株「オミクロン株」に応じて要請基準を再検討し、専門家の意見を踏まえて決めた。オミクロン株拡大後、小池氏が基準に言及したのは初めて。
都は昨年11月以降、週平均の新規感染者が約500人、3週間後の病床使用率が最大確保病床(約6900床)の約20%に達する見込みとなった場合にまん延防止措置の適用申請を検討する考えを示してきた。しかしこれらの数値は従来のデルタ株を想定しており、感染拡大速度や重症化率が異なるとされるオミクロン株の流行下には適さない可能性があった。
都はオミクロン株の特性を踏まえ、一律の行動制限要請には慎重な一方、医療逼迫(ひっぱく)を防ぐための新たな要請基準を検討。病床使用率のみを基準とし、現在の使用率だけで判断することにした。
小池氏は専門家の意見を尋ねる都新型コロナ対策審議会の後、取材に「感染は止める、社会は止めない。この両方を行っていかなければいけない」と発言。新型コロナは感染症法上、危険度が5段階で上から2番目に高く結核などと同等の2類相当とされているが、季節性インフルエンザ並みの5類とするよう求める意見も出ている。この点について小池氏は「5類への変更も含めて科学的な知見を集めていただくよう(国に)お願いしたい」と求めた。
13日の都内の新規感染者は3124人。都内の感染状況を分析する13日の都モニタリング会議では、感染状況と医療提供体制の警戒レベルをそれぞれ1段階ずつ上げ、感染状況は上から2番目、医療提供体制は同3番目とした。また専門家6人が都内の1日あたりの新規感染者数がピーク時に1万人を超えると試算したことも報告された。【黒川晋史、竹内麻子】