東京都練馬区立小学校1校が保護者から集めた教材費の余剰金27円を無断でユニセフに寄付したところ、区教育委員会から「事前に説明すべきだ」と指導された。関係者への取材で判明した。区教委が定めたルールでは、余剰金は保護者に返金することになっている。割り切れない場合は寄付も想定されているが、区教委は学校徴収金を説明なく寄付したのは「学校の落ち度」としている。
毎日新聞の情報提供窓口「つながる毎日新聞」への投稿を基に取材した。
保護者によると3月中旬、区立小1年生の保護者らに配布された2024年度決算書で教材費の支出内訳に「ユニセフ募金 27(円)」との記載があった。教材費とはドリルなどの副教材の購入に充てる目的で保護者から徴収するもので、24年度は合計で117万2736円だった。
この保護者は「金額の大小の問題ではない。事前に何の説明もなく勝手に寄付されたことに不信感がある」と話す。
区立小の副校長は取材に対して「事前説明を失念していた」と認め、「今後説明を徹底するよう全校に周知していく」と話した。
区教委によると、各学校に教材費などの学校徴収金についての取り扱い手引を配布している。その中で、余剰金が発生した際は保護者に返金するのが前提となっており、保護者全員に返金できない端数が出た場合について「公的募金へ入金する等」と例示している。
関係者から区教委に3月、余剰金を無断で寄付したとの情報が寄せられた。担当者は「保護者から預かっている徴収金の性質上、執行にあたっては説明責任がある。説明なく寄付したのは学校の落ち度だ」として指導した。
関係者によると、区立小は新年度が始まった4月の保護者会で「どうしても割り切れない場合は寄付する」などと説明し、25年度の教材費のお知らせに「返金できない残金が発生した場合は募金させていただきます」と明記したという。
端数を寄付する事例は、他の区でもあるのだろうか。
練馬区に隣接する中野区でも保護者の承諾を受けた上で寄付も選択肢の一つとして例示しているという。担当者は「記憶の限りでは端数の取り扱いについて保護者から指摘を受けたことはない」と話した。
一方、板橋区教委に尋ねると「端数の取り扱いについて教育委員会から何か例示しているわけではない」とした上で「決算書を確認すると寄付という方法をとっているところもあった」と明かした。いずれもいつから寄付の方法がとられるようになったかは不明という。【木原真希】
ひめゆりの塔の展示は「ひどい。歴史の書き換えだ」自民・西田参院議員が発言 憤る平和祈念資料館長「沖縄戦体験者の思いを踏みにじる」
神道政治連盟県本部と県神社庁、日本会議県本部でつくる実行委員会は憲法記念日の3日、那覇市内でシンポジウムを開いた。自民党の西田昌司参院議員が講演し、過去に見学した糸満市のひめゆりの塔の展示内容を挙げ「ひどい。歴史の書き換えだ」と述べた。
西田氏は戦後の教育は間違っており「でたらめだ」と主張。「何十年か前にひめゆりの塔を訪れ説明を読んだが、日本軍が入ってきてひめゆり(学徒)隊が死んだ。そして米国が入ってきて沖縄が解放されたとの文脈で書かれていた」と話した。
その上で、旧日本軍を念頭に「亡くなった方は救われない。歴史を書き換えられるとこういうことになってしまう」と発言した。
また、「沖縄の地上戦の解釈はかなりむちゃくちゃな教育になっている」とも言及。「自分たちが納得できる歴史をつくらないといけない」と訴えた。
シンポは党県連が共催。1部は故安倍晋三元首相の顕彰祭を開き、2部では西田氏と国場幸之助氏(自民)が講演した。(政経部・又吉俊充)
自民党の西田昌司参院議員が過去に訪れたひめゆりの塔の展示を「歴史の書き換えだ」などと発言したことに、ひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長は「沖縄戦体験者の思いを踏みにじる発言だ」と憤った。
普天間さんによると、塔や資料館には西田議員が発言したような記述はないという。普天間さんは「資料館の展示は体験者の話がベース。沖縄戦を体験した県民や、ひめゆり学徒隊の過酷な体験を否定する発言だ」と語気を強めた。
戦後80年が近づき、沖縄戦体験者は減り、風化も叫ばれる。普天間さんは「私たちにとっては踏ん張りどころ。戦争は絶対に起こしてはならない。体験者から渡されたバトンをしっかりと次の世代につないでいきたい」と強調した。(社会部・滝口信之)
「消費税減税の大合唱」も課題は山積…ブレ目立つ石破総理 「痛税感」の抑制などで“真の物価高対策”を
コメの店頭価格が16週連続で値上がりするなど、物価高が国民生活の重い負担となっている。
こうした中、夏に参議院議員選挙を控える与野党からは「消費税の減税」を公約に掲げる動きも出始め、物価高に苦しむ国民からの期待も高まっているが、「消費税の減税」については数々の課題が議論を尽くされないまま残っている。
与野党が“消費税減税の大合唱”
消費税減税について、政府は「全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置付けられている。税率を引き下げることは適当ではない」という立場を維持している。
しかし、自民党の参議院議員のアンケートでは約8割の議員が消費税の減税を求めているほか、連立を組む公明党も減税を前提とした経済対策を石破総理に求めるなど、与党内からも消費税の減税を求める声が高まっている。
また、これまで消費税の減税に慎重な姿勢を示していた立憲民主党の野田代表も4月25日、給付付き税額控除を実現するまでの時限的な措置として、食料品にかかる消費税を原則1年間ゼロにする政策を参院選の公約に盛り込むことを決めた。
この他、 ▼日本維新の会は、「食料品の消費税を2年間ゼロ」 ▼国民民主党は、「時限的に一律で消費税を5%に引き下げ」 ▼共産党は、「消費税率を5%にして、廃止を目指す」 ▼れいわ新選組は、「消費税の廃止」 を訴える。
ある自民党幹部は「参院選に負けて政権交代したら、それこそ野党は大減税する」と懸念を示し、参院選で負けないためにも、ある程度、消費税の減税を参院選の公約に盛り込むことを検討をすべきだと危機感をあらわにしている。
消費税の減税、議論尽くされぬ課題の数々
立憲民主党が参院選の公約に“食料品にかかる消費税を、原則1年間ゼロにする”と盛り込むことを決めた日、自民党の森山幹事長は「1年間の限定だったら、消費税を下げるのではなく、別にやれる方法があるのではないか」と提起した。 消費税の減税をめぐっては、「財源の問題」や「一度引き下げたら元に戻すのが難しい」と指摘する声も上がるが、この他にも議論が尽くされていない課題が山積している。
<課題(1)更なる物価上昇の可能性> 物価高対策として、政府・与党内で浮上している案に「消費税減税」や「現金給付」などがある。
消費税減税は消費が伴うため、貯蓄に回る可能性のある現金給付に比べ、景気刺激の効果もあるとされるが、消費が活発化することで更なる物価高に繋がる懸念も残る。
「経済活動が止まったコロナ禍」と「物価高の今」とでは経済状況も異なる。景気を刺激することの是非や、現金給付により一部が貯蓄に回ることの是非などについても深い議論が求められる。
<課題(2)「減税」と「給付」実際どちらが支援に繋がるか> 立憲や維新は「食料品にかかる消費税の減税」を主張している。これは、食料品は生活に欠かせないものであることや、値上がりが顕著なのがコメなどの食料品であり、食料品に絞った減税というのは財源も考慮されたものとも言える。
では、「消費税の減税」と「現金給付」の場合、どちらが生活者の支援になるのだろうか。財務省は、食料品などの軽減税率8%を0%にすることで失われる税収は年間約5兆円だと説明している。この5兆円は現金給付だと国民1人一律4万円程度に相当する。
では、減税で4万円分の恩恵を受けるには、どれぐらいの食料品などの購入が必要になるのか。計算すると50万円分となる(50万円×8%=4万円)4人家族なら200万円分の食料品などを買った時に、現金給付と同等の恩恵を受けることとなる。
「消費税減税」と「現金給付」のどちらが支援に繋がるのか、各家庭により事情は異なるが、こうして具体的な数字で示すことで、見え方も変わってくるのではないだろうか。
<課題(3)飲食店への影響> 飲食店では、店内での食事は税率が10%だが、弁当にして持ち帰ると軽減税率の対象となり8%となる。仮に軽減税率8%を0%にした場合どうなるのか、国民民主党の玉木代表は店内飲食(10%)と持ち帰り(0%)で10%の差となることから「外食する人がすごく減ってしまうのではないか。その意味でも飲食店の経営には大打撃になる可能性がある」と指摘する。
この他にも、「単価の高い食材を買う傾向にある高所得者の方が恩恵を受けやすい」「減税を見越した買い控えが起こる」などの懸念の声も上がる。
与野党各党から「消費税の減税」を求める声は上がるが、その効果と副作用の議論が尽くされたとは言い難い。
また、税は国の財政の根幹をなすものであり、「一時的な上げ下げが適当なのか」「変えるのであれば社会保障などと一体で考える必要はないのか」「毎年のように給付や減税を繰り返すのであれば、歳入・歳出のあり方自体に問題はないのか」など、議論しなければならない課題は山積している。
求められる「真の物価高対策」
消費者は日々目の当たりにする食料品の物価高に「痛税感」も覚えている。痛税感とは国民が納税を負担に感じることで、この痛税感を和らげるのは、税負担を抑えることの他に、税金が正しく使われているという納得感だ。
つまり「痛税感」を抑えるには、政府が適切に税金を集め、国民のために適切に使っているという信頼感を得ることが肝要となる。そういう意味では、政治が国民の信頼を取り戻すことも“物価高対策の一つ”とも言える。
消費税減税に石破総理はどう対応するのか
これまで、消費税の減税をめぐり「否定しない」と言ったかと思えば、「適当ではない」と発言するなど、ブレが目立つ石破総理。
4月30日には「高所得の方、あるいは高額消費も含めて負担が軽減されることになる。低所得の方が物価高に一番苦しんでいることを考えた検討が必要だ」と、消費税の減税には慎重な姿勢を見せつつも、「具体によく詳細に検討してみなければならない」と、今後、よく精査し議論していきたいとの考えを示している。
夏の参院選を控え、消費税の減税をめぐる議論も熱を帯びることが予想されるが、「選挙対策」ではなく、「真の物価高対策」に向けた与野党の真摯な議論が期待される。
TBSテレビ政治部・官邸キャップ 中島哲平
自宅以外で遺体燃やしたか、川崎 20歳女性死体遺棄で容疑者
川崎市川崎区で岡崎彩咲陽さん(20)の遺体が見つかった事件で、元交際相手白井秀征容疑者(27)=死体遺棄容疑で逮捕=が自宅とは別の場所で遺体を燃やした可能性があることが4日、捜査関係者への取材で分かった。容疑者宅に焼損の形跡がなく、神奈川県警は遺体が別の場所から自宅に運ばれた可能性があるとみて捜査している。
県警はストーカー規制法違反容疑で4月30日夜に白井容疑者の自宅を家宅捜索し、床下にあったバッグから遺体を発見。遺体には激しく焼かれたような痕があり、司法解剖の結果、死後1カ月以上経過しているとみられる。
白井容疑者は3日に米国から帰国し、県警が任意同行して逮捕した。
加藤勝信財務相が米トランプ政権に脅し? 米国債「売却含み」の危うい交渉カード
「(交渉の)カードとしてはあると思う」──。加藤財務相が2日、テレビ東京系の「Newsモーニングサテライト」に出演。対米関税交渉で、日本が保有する米国債を「安易に売らない」と発信することが交渉材料としてあり得るかを問われ、可能性を否定しなかった。
言わずもがな、日本は世界最大の米国債の保有国だ。米財務省が先月16日に発表した2月の対米証券投資統計によると、日本の保有額は1兆1259億ドル。1月の1兆793億ドルから買い増した。日本に次ぐ中国の保有額は7843億ドルで、いかに日本が“太客”かが分かる。
金融市場が固唾をのんで日本の動向を注視する中、加藤財務相は「交渉のカードになるものはすべて盤上に置きながら議論するのは当然」と主張。「(カードを)切るのか切らないのかはまた別の問題だ」と留保を付ける一方、米国債について「アメリカを支援するために持っているわけではない」「我が国がいざとなれば介入する」と売却の可能性もチラつかせた。
米国債を交渉材料に持ち出すこと自体、市場に株式・債券・ドルを同時に売られ、「トリプル安」が直撃した米国に対し“脅し”をかけたも同然だ。
■橋本龍太郎首相の二の舞い
いたずらにトランプ政権を刺激することになりはしないか。米国債を巡っては、かつてホワイトハウスの逆鱗に触れたことがある。
1997年6月、橋本龍太郎首相が米コロンビア大学での講演後の質疑応答で「米国債を売りたい衝動に駆られることがある」と発言。日米貿易摩擦を巡って米通商代表とやり合った経緯を念頭にジョーク交じりに語ったが、直後に米株や国債が急落。当時のクリントン政権は「売れば宣戦布告とみなす」とカンカンとなり、日本政府は火消しに追われたのだ。
以来、橋龍と同じ轍は踏むまいと、歴代トップは米国債への言及を“封印”。石破首相も米国債の取り扱いに関し「非常に機微な問題」と言って触れようとしない。加藤財務相は米国債を交渉カードにするとカッコつけちゃいるが、関税をかければ米国債を売ると受け取られかねず、トラの尾を踏む危うさをはらむ。
「トランプ政権は相互関税を発動した直後、90日間の一時停止を余儀なくされました。米国債の投げ売りにより、金利が急騰したからです。米国債を大量に保有する日本は米国の首根っこをつかんでいるとは言えますが、米国債の暴落を招くようなことはできないし、するつもりもない。『売るかもしれない』と脅しめいたことを言わざるを得ないほどに、米国から厳しい要求を突き付けられているのではないか」(埼玉大学名誉教授・相澤幸悦氏=経済学、金融論)
もっとも、米国の自動車関税に対し日米貿易協定「違反」すら指摘できない弱腰政権のこと。本気でケンカできるわけがない。
コメ高いのに… 稲を食い荒らす「ジャンボタニシ」にピリピリ
米価の高騰が続く中、稲を食い荒らす大型の巻き貝「ジャンボタニシ」(スクミリンゴガイ)への警戒感が高まっている。1980年代に食用として台湾から持ち込まれたジャンボタニシ。野生化し繁殖力が強いうえ、温暖化で越冬しやすくなるなどして発生地域が拡大する可能性もあるからだ。
まだ発生が確認されていない米どころ・新潟県では、ジャンボタニシの田んぼへの持ち込みを禁止するルールを新たに策定。田植えシーズンを迎え、全国の産地はコメの収量を減らしかねない害虫にピリピリしている。
違反に過料30万円も
「一度でも侵入、まん延すると根絶は難しく、本県の稲作に多大な影響をもたらす恐れがある」
新潟県は2024年11月、植物防疫法に基づく「県総合防除計画」で、ジャンボタニシを水田に持ち込まないことを農家の「順守事項」として定めた。違反した場合、30万円以下の過料が科される。
隣の群馬・長野両県では確認されており、危機が迫っている。
ジャンボタニシは南米原産の外来種で、大きさ2~7センチ程度の巻き貝。生育初期の稲や、レンコンの若葉などを食べるため、各地で食害が問題になっている。
農林水産省によると、ジャンボタニシは食用として81年に台湾から長崎県と和歌山県に持ち込まれ、その後、各地に養殖場もできた。しかし、需要は伸びずに廃れ、放置されたものが野生化した。
暖冬だと越冬しやすく、温暖化とともに個体数が増加。用水路を移動したり、農機具に付着したりして少しずつ生息域を広げ、被害を受ける地域が拡大したと考えられるという。22年時点で関東以西の35府県に分布している。
新潟県がルールを検討するきっかけとなったのは、24年春ごろ、ジャンボタニシを除草目的で水田にまく様子を収めた投稿が交流サイト(SNS)で拡散したことだった。
農水省は、除草目的でもまかないように呼びかけているが、新潟県の担当者は「SNSでの拡散に危機感を持ち、24年夏ごろからルールの議論を始めた。発生域が隣県にまで迫っており、県内に入れないよう注意深く監視していきたい」と話している。
「今年は気合を入れて」
昨年、被害が多かった千葉県も警戒を強める。24年6月の調査で、食害を受けた稲は平年の約3倍に上った。
「STOP!ジャンボタニシ被害!」
千葉県東部の山武(さんむ)市など九十九里浜に面した地域を管轄する県山武農業事務所は25年2月、対策を呼びかけるチラシを新たに作製し、農家に配布した。
田んぼの土の凸凹をなくし、食害が出やすい田植え後の約3週間はタニシが移動しにくいよう水深を4センチ以下に浅く管理するといった対策を呼びかけた。
改良普及課の風戸治子課長は「コメの需要が高まっている中、収量を落としたくない農家は少なくない。昨年は大きな被害があり、今年は気合を入れて対策に取り組んでいる農家が多い」と話す。
薬剤や捕獲器の補助も
自治体による駆除用の農薬や捕獲器への補助も広がっている。
千葉県東金市は25年度、農薬の購入費を3分の1まで助成する制度を開始した。田植え後にまく主な農薬は通販サイトなどで2キロ3000円程度で売られている。
市の担当者は「昨年はこれまで食害がなかった地区にも広がった。このままだと農薬購入などの費用がかさんで稲作をやめる農家も出かねない。今年はコメの不足感も強く、対策をして収量を確保したい」と危機感を募らせる。
静岡県森町も食害を抑えるため、25年度から捕獲器の購入補助を始めた。3万円を上限に2分の1まで助成する。
農水省の担当者は「生息域が拡大している地域では対策が十分になされず被害が出やすい。対策をしっかり取れば、コメの収量減は避けられる」と呼びかけている。【岡田英】
「勝訴を一緒に喜びたかった」 亡き次男と母が闘った生活保護訴訟
乗用車の利用を巡る行政の指示に従わなかったため生活保護の支給を停止したのは違法だとして、重い障害を持つ三重県鈴鹿市の母親と次男が2022年、処分の取り消しを求めて提訴。24年10月に名古屋高裁は市に処分の取り消しを命じた。だが、重病で入院していた次男は翌月、この世を去った。判決を理解できたのか。どんな思いで病床に就いていたのか――。【原諒馬】
「本当にきれいな顔をしている。この数年間、すごく頑張ってくれたね」。母親(82)は24年11月、次男(当時56歳)の最期を市内の病院で見取った。致死性不整脈だった。裁判の心労もあり同年1月から入院していたのだという。
同年3月の1審判決で津地裁が処分の取り消しなどを命じた後、病院で母親から勝訴の報を伝えられた次男は反応を示し、理解はしたようだった。しかし、高裁判決の際は既に意識が混濁している状態で、伝わったかどうかはっきりしない。25年3月、取材に応じてくれた母親は「裁判での勝訴を名古屋に行って一緒に喜びたかった」と心境を明かした。
次男は難病でつえが必要で、長い距離を歩くことが難しかった。母親も身体に障害があり、しかも高齢だ。母親によると、自宅からスーパーまで約2キロ、通院している病院までは徒歩とバス、電車を乗り継いで1時間以上かかる。次男を歩かせるのは難しかった。
そこで次男の通院時に限って車の使用を市から認められた。だが、それには条件があった。目的外使用をしていないか確認するため、運転者や経路、走行距離を記入した運転記録を提出することだ。
それはプライバシーの侵害ではないか。親子は記録の提出に抵抗を感じた。その結果、記録を提出しなかったことを理由に市は生活保護を止めた。
だが、鈴鹿市が出した条件に法的な根拠があるわけではなく、裁量によるもの。運転経路などの記載について「必要性は相当低かった」というのが24年10月の名古屋高裁の判断だった。厚生労働省は「この裁判が直接影響した訳ではない」としつつも、24年12月、自動車保有が認められている生活保護受給者について「日常生活に必要な買い物などでの使用を認める」と各自治体に通知した。
末松則子市長は25年1月の定例記者会見で、運転記録の提出を原則不要としたことを明らかにし、「現在は通知に従って日常生活での車の使用も認めている。今後も生活保護制度の下で適切に対応していく」と述べた。
次男の死を機に車を処分した母親は「障害があるのに、自動車の保有・使用に対して厳しかった。市の対応は最低限度の生活を保障する上で問題だったのでは」と疑問を呈する。
そして「高裁の判決が出るまでの2年間は長いようで短かかった。これまでの市の対応でつらい思いもした。市として柔軟な対応をとってほしかった」と振り返った。
富士山周辺で外国人観光客によるレンタカー事故が多発、「車道に飛び出してくる」と地元ドライバーも嘆く…「コンビニ富士山」前はクラクションが鳴り止まずカオス状態
富士山周辺で外国人観光客によるレンタカーやレンタサイクルによる事故が激増している。中には、交通ルールがわからず、危険運転する者も…? 観光客増加が見込まれるゴールデンウイーク期間中、地元のレンタカー店はどのような対策を取っているのか? また、地元民は激増するレンタカー事故に対してどう思うのかを取材した。
【画像】富士山がきれいに見えるコンビニで車道に足を出して記念撮影をする中国人観光客
過去10年で最多、激増する外国人ドライバーによる交通事故
現在、山梨県の富士山周辺で外国人観光客によるレンタカーの交通事故が激増している。
山梨県警察本部によると、富士北麓地域で起きた外国人のドライバーによるレンタカーの交通事故は去年、速報値で769件にのぼり過去10年で最も多くなった。
国際免許証さえあれば、外国人観光客でも簡単に利用できるレンタカー。山梨県警では、ゴールデンウイークなど、これからの観光シーズンを迎えるにあたり、地元のレンタカー店などと協力して外国人による交通事故防止のための対策に取り組んでいるとのことだ。
そこでまず、山梨県・富士山周辺で外国人観光客向けのレンタカー屋を営む男性(40代)に実情を聞いてみた。
「最近、外国人観光客のお客さんから報告を受けた事故は2件ありました。1件は駐車場に入ろうとして路肩に脱輪した事故です。もう1件はハンドルをうまくきれず、縁石にぶつかった事故です」(レンタカー屋店主)
コロナ禍以降、外国人観光客数はどんどん増えており、最近は台湾、マレーシア、シンガポールから来るお客さんが多いと話す。男性の店では事故防止のため、次のような取り組みをしているとのことだ。
「外国人観光客には道路標識の意味や事故が起きやすいポイントを必ず説明してから車を貸し出しています」(レンタカー屋店主)
一方で、富士山周辺で外国人観光客向け送迎車のドライバーをする男性(30代)に取材を行なった。男性の会社の貸し切りハイヤーの料金は1日約7万円で、中華系富裕層がメインの客層だという。男性によると、「最近のお客さんのほとんどが『コンビニ富士山』目的の観光客」とのことだ。
「コンビニ富士山」とは、外国人観光客の間で話題になっている「ローソン 河口湖駅前店」のことを指す。コンビニエンスストアの建物の上に富士山が乗っているような写真が撮影できることから、今や人気観光スポット化している。前出の送迎車ドライバーはこう続けた。
「『コンビニ富士山』周辺は道幅が狭いにもかかわらず、大型観光バスがバンバン通る場所。いつ行っても観光客でごった返していて、クラクションを鳴らしながら通るタクシーや観光バスもしょっちゅう見かけますよ。
最近は『わ』ナンバーのレンタカーもよく見かけるようになりましたね。運転に慣れてない車が多いので、見かけたら車間距離を広めに取るようにしています。
特に外国人観光客はコンビニなどの小さい駐車場に慣れていないのか、ぶつけられそうになったことは何度もあります。日本の交通ルールをしっかりと理解してから運転してほしい」(送迎車ドライバー)
「コンビニ富士山」の近隣住民(40代・女性)も交通事故についてこう話す。
「最近、交通事故をよく見かけるようになりました。富士山の写真を撮るため平気で車道に飛び出してくる外国人観光客が多いのも原因の一つでしょうね。
それに加え、富士山周辺ではインバウンドの影響で外国人観光客向けのレンタカー会社やレンタサイクル店舗が増えてきています。そのため、人と車の接触事故だけでなく、車と車の接触事故や自転車と車の接触事故も増加しています。
ただ、事故が起きても『外国人相手で言葉が通じないからめんどくさい』、『旅行時間を無駄にしたくない』という理由で、被害者が警察に報告しないケースも多いと聞きます」(近隣住民)
レンタサイクルでの事故も急増中、近隣住民は…
最近はレンタカーだけでなく、観光客がレンタサイクルに乗車中、急に飛び出してきて車と衝突事故を起こすことも多いとのことだ。
別の近隣住民(50代・男性)もレンタサイクルを利用する外国人観光客についてこう話す。
「最近、自転車に乗る外国人をたくさん見かけます。一時停止のところを停まらずに飛び出してきたり、交差点を斜めに突っ切ったりする自転車も多くて困りますよ。日本の交通ルールを理解せず、車と同じ感覚で自転車に乗る人も多いように感じます」(近隣住民)
そこで、山梨県富士河口湖町のレンタサイクルショップにも取材を行なった。店員(30代・女性)はこう話す。
「お客さんのほとんどが外国人観光客なので、『自転車は左側通行で車道を走ってください』『二人乗りはしないでください』など、必ず日本の交通ルールを説明してから貸し出ししています」(レンタサイクルショップ店員)
しかし、外国人による事故が激増しているのはなぜだろうか? 前出の店員にその理由を聞いてみた。
「お客さんからはよく『日本は道幅が狭くて自転車で車道を走行しづらい。サイクリングロードはないのか?』と聞かれます。しかし、富士山周辺はサイクリングロードがないところも多く、車にぶつかりそうになるところも多いみたいです」(レンタサイクルショップ店員)
富士山周辺は海外に比べて道幅が狭いことや、日本と海外の交通ルールの違いによる事故が多いとのことだ。
こうした声を受け、自治体ではどのような対策が行なわれているのだろうか? 富士河口湖町役場・防災担当者は現在行なっている取り組みについてこう話した。
「山梨県警と協力して地元のレンタカー店舗にチラシを配布したり、町内のレンタサイクル店を対象に交通ルールについての講習会を実施したりするなどの取り組みをしています」(富士河口湖町役場 防災担当者)
配付されているチラシには日本の交通ルールが外国語で書かれており、記載されているQRコードをスマートフォンで読み取ると、「交通事故発生マップ」で外国人ドライバーによる交通事故の場所を確認することもできる。
交通量が多くなるゴールデンウイーク。くれぐれも交通ルールは守り、安全運転を心がけてもらいたい。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
ツーリング中にフェンスに衝突…事故の衝撃を検知し自動通報 運転手の60代男性死亡 北海道
2025年5月3日正午すぎ、上川町の層雲峡で複数人でツーリング中だったオートバイがフェンスに衝突する単独事故があり、バイクに乗っていた60代の男性が死亡しました。
5月3日正午すぎ、上川町層雲峡の国道39号を旭川方面に走っていたオートバイ1台が反対車線にはみだし、道路わきのフェンスに衝突しました。
男性のスマートフォンが事故の衝撃を検知し、消防に自動通報が入ったことで事故が発覚しました。
警察や消防によりますと、運転していた60代の男性が頭から出血し、意識不明の重体で病院に運ばれましたがその後搬送先の病院で死亡が確認されました。
現場はゆるやかなカーブが続く道で、警察が事故の詳しい原因を調べています。
ストーカーから事件に発展 「ハネムーン期」の後に暴力エスカレート
川崎市の民家から遺体で見つかった岡崎彩咲陽(あさひ)さん(20)の家族は、岡崎さんが、死体遺棄容疑で逮捕された元交際相手の白井秀征容疑者(27)からストーカー行為を受けていたと訴えている。全国の警察へのストーカーの相談件数は近年、年間2万件前後で高止まりの状態が続く。警察は「事態が急展開して重大事件に発展するおそれが大きい」と危険性を指摘している。
警察庁によると、相談件数は2013年に初めて2万件を超えた。17年の2万3079件が最多で、24年は前年より1・4%減の1万9567件だったが、高い水準で推移している。
摘発は増加傾向にあり、24年はストーカー規制法違反が1338件(前年比23・8%増)、刑法犯などは1742件(同2・0%増)だった。
警察庁による詳しい分析のある23年(相談件数1万9843件)では、被害者の性別は女性が87・0%を占めた。被害者の年齢は20代の34・3%が最多で、30代の21・5%が続いた。加害者も20代が19・9%で最も多かった。
被害者と加害者の関係は、最多が交際相手(元を含む)の37・2%で、知人友人が13・9%で続いた。動機は「好意の感情」が66・8%、「好意が満たされず怨恨(えんこん)の感情」が15・0%だった。
摘発された2789件のうち、殺人未遂18件、傷害100件などの重大事件に発展するケースもある。殺人は19~23年の5年間で3件が摘発された。
ストーカーを巡っては、1999年に埼玉県桶川市で女子大学生が犠牲になった事件などを受け、翌00年にストーカー規制法が施行された。
その後も、新しいコミュニケーション手段が使われた末に犠牲者が出た事件などを受け、3回の法改正をして対策を強化。電子メールの大量送信や、交流サイト(SNS)を使いしつこくメッセージを送る行為などが規制対象に加わった。
また、被害者や家族が警察に相談していたにもかかわらず、殺人事件などに至ったケースもこれまでも起きている。11年に長崎県でストーカー被害を訴えていた女性の家族2人が殺害された事件では、千葉、三重、長崎の3県警の連携不足が明らかになった。
13年に東京都三鷹市で女子高校生が元交際相手の男性に殺害された事件では、生徒は事前に最寄りの警察署に相談していた。23年に福岡市博多区で女性会社員が元交際相手の男性に殺害された事件では、県警が男性にストーカー規制法に基づく緊急禁止命令を出していた。
ストーカーから身を守るためにはどうすればいいのか。警察庁は未然防止のために必要なことを情報発信サイトにまとめている。
危険性を判断するポイントとして、相手の行動について「自分の思い通りにならないと怒る」などのチェック項目を紹介。また暴力がいったんおさまって優しくなるケースもあるが、それは「ハネムーン期」で、その後ストレスが蓄積して暴力が再開され、エスカレートしていくおそれがあることも指摘している。
「まず警察に相談を」として、どのような被害に遭ったのかの証拠となるメールや写真などを保存しておく必要性も強調。警察以外の相談窓口や支援制度も紹介している。
ストーカーは加害者が身近な人であることが多いため、被害者が被害届の提出などをためらうことが見受けられるという。そのため警察では、被害者の意思決定を的確に支援することが大切とされている。【山崎征克】