【速報】高速バスの車内でナイフ所持 銃刀法違反の疑いで男を現行犯逮捕

27日朝、高速バスの車内でナイフを所持したとして、警察は銃刀法違反の疑いで男を現行犯逮捕しました。4月27日午前5時25分頃、高速バスの運転手から「ナイフを持った男が車内の前方に来て立っている」と通報がありました。高速バスは東京発萩行きで、広島市安佐南区大塚西のバス停で停車。通報を受けて現場にかけつけた警察官が犯人を説得しながら乗客の安全を確保し車内に突入、約25分後に警察が銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕しました。男は60代とみられ、所持していたのは刃体約8センチのナイフだということです。バスには約20人の客が乗っていましたが、今のところケガ人はいないということです。警察が動機や経緯などを詳しく調べています。
【2026年4月27日午前8時20分現在】

習近平の悲願を潰す「日本の切り札」になる…防衛費増額より中国が嫌がる「安保3文書改定」のインパクト

安保3文書の改定をめぐる動きが活発化している。4月下旬に有識者会議の初会合の開催が予定され、秋までに改定案の提言とりまとめを目指す方向だ。
安保3文書とは、2022年に策定された「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」を合わせた呼び名だ。
それまで日本は、相手から攻撃された場合のみ反撃するという「専守防衛」の姿勢を貫いてきた。だがこの3文書では、敵のミサイル発射拠点などを攻撃する「反撃能力」の保有を初めて明記し、防衛費もGDP比2%(約11兆円)へと倍増させる方針を打ち出した。戦後日本の防衛政策の大きな転換点となったといっていい。
今回の改定に関する議論では、防衛費のさらなる増額や防衛装備品の輸出ルール緩和などが主な争点として注目されているが、「反撃能力をどのように運用するのか」という課題も検討することになるだろう。前回の策定で能力を保持することは決定したが、どのような状況で、誰が判断し、どういった手続きで実行に移すのかという運用構想はできあがっていなかった。
具体的には、首相や国家安全保障会議(NSC)による意思決定と自衛隊の行動を結びつける指揮統制の仕組み、米国との役割分担、そして弾薬や燃料の備蓄、補給体制などの継戦能力といった、宿題として持ち越されてきた論点があらためて俎上に載ることになる。
今回の改定に、中国は強い反発を示している。対日姿勢の変更を余儀なくされるからだ。1月6日、中国外交部の毛寧報道官は定例会見で「日本の再軍備を加速させる危険な動きを反映しており、必然的に地域の平和と安定を損なう。国際社会は高度の警戒をすべきだ」と述べた。
新たな安全保障体制(以下、新体制)は、日中関係にどのような影響を与えるのか。ここでは中国側の視点から分析してみたい。
これまで中国は、日本を台湾有事に直接影響を与える主体とは必ずしも見なしてこなかった。日本は「専守防衛」の立場にあるため、主として米国を後方から支援する役割にとどまり、自ら前面に立って作戦を主導する国ではないという認識があった。
沖縄の在日米軍基地についても、中国にとっては米軍の出撃や展開を支える拠点という意味合いが強く、日本が独自の判断で運用するものではないと受け止められてきた。
しかし、新体制が実際に動き始めれば、日本は南西諸島を含む地域で、警戒や監視、防空、部隊の展開といった活動を、はっきりとしたルールに基づいて行うようになる。南西諸島は台湾や南シナ海、さらには太平洋へとつながる重要な海と空のルートに近く、戦略上きわめて重要な場所だ。
こうなると、中国は日本を無視して戦略を考えることができなくなる。日本がこれまでのように米国を支えるだけの存在ではなく、地域の安全保障に直接影響を与える存在へと変わるからだ。
その結果、中国は自国の軍事や外交の方針を決める際、日本がどこまで行動するのか、どのように判断するのかを前提に考える必要性が生じてくる。
改定の直後には、中国が外交・軍事・経済・情報の各分野で圧力を強めるだろう。その目的は、日本の新体制が実際にどこまで機能するのかを測ると同時に、本格的な始動を牽制することにある。
まず外交面では、首脳会談や外相会談、防衛当局間の協議、多国間会議などの場を通じて、日本の政策意図について具体的な説明を求めてくるだろう。中国がそこで探りたいのは、反撃能力をどのような条件で行使するのか、集団的自衛権とどう整合性をとるのか、南西諸島でどの程度の部隊展開を想定しているのか、といった点だ。
並行して、軍事面では東シナ海や南西諸島周辺で艦船・航空機の展開を活発化させると考えられる。空母や揚陸艦(上陸作戦に使われる艦艇)の一時的な展開、弾道ミサイルや巡航ミサイルを使った演習、尖閣諸島周辺での海警局の活動拡大などが想定される。
これらは威嚇そのものが目的というより、日本がどの水準で反応し、どの段階でエスカレーションを避けようとするかを観察する意味合いが強い。外交で言葉によって探り、軍事で実際の反応を測る――両者は一体の動きといえるだろう。
経済面では、半導体関連製品や精密機器の輸出手続きの遅延、現地での投資審査の厳格化、既存契約の見直し要求といった形で圧力をかけてくることも予想される。
これまでは中国の経済的圧力といえば、レアアース等特定の資源の輸出規制といった措置が中心だった。一方、ここでの狙いは直接的な打撃ではなく、企業活動全体の先行きを不透明にすることで、日本国内に慎重論を広げる点にある。
企業にとっては「予定通りに物が売れない」「投資の回収が遅れる」といった不安が生じ、結果として事業計画を見直す動きが広がりうる。こうした変化は、政府の判断にも間接的に波及するだろう。
そして情報面では、政府系メディア(人民日報、環球時報、英語版のChina Dailyなど)や研究機関、SNSを通じて、新体制に対する疑問や不安を広げる発信が行われるだろう。
ここでターゲットになるのは日本の“空気”だ。防衛政策をめぐる議論の流れや世論の受け止め方に影響を与えることが目的になる。したがって日本のSNSの反応や世論調査、報道の傾向を見ながら、強調する点や伝え方を調整しつつ進められるだろう。
こうした短期的な圧力と並行して、中国は長期的な戦略の再設計を進めると予想される。全面的な衝突は経済的損失や国際的孤立を招くため、基本的には回避される。その一方で、一定の緊張関係を維持しながら、自国の行動の幅を保つ形で対応していくはずだ。
まず、前掲の軍事的圧力と情報発信は長期にわたり継続されると考えられる。ただし、その性質は短期の場合とは異なってくる。
軍事面では、南西諸島周辺での活動を拡大したまま続けることで、当初は「異常事態」ととらえられたものを「日常」へと変えていく。結果として日本の警戒心が弱まり、対応に踏み切るラインを揺るがせるのが目的だ。
経済的圧力も軍事的緊張と組み合わせることで効果を持つ。企業活動に不確実性をもたせ続けることで、日本国内の慎重論を下支えする。
情報面では、短期の反発的な発信から、長期的な世論形成へと軸足が移る。防衛費増の財政負担や偶発的衝突のリスクといった論点を繰り返し提示し、「慎重であることが合理的だ」という空気をつくることが狙いとなる。
そしてもっとも大きく変えざるを得ないのが、台湾周辺および南西諸島正面で想定してきた作戦構想だ。これまで中国は短期決戦型のシナリオを重視してきた。その前提条件は安保3文書改定によって修正を迫られる。
日本の補給体制や弾薬の備蓄、継続して戦うための能力、基地の防護、部隊の分散展開といった体制が強化されれば、台湾有事の初動段階で優位を確保することは、これまでより難しくなる。
とりわけ重要なのは、戦闘がどの程度の期間続くのかという「時間の見通し」だ。戦闘が長引いた場合の補給の維持や、空と海の優勢をどこまで保てるか、さらに国際社会の反応がどう変化するかまでを踏まえた、より現実的な想定が求められる。
現状では、日本は反撃能力を「持つ」とは宣言したものの、いつ・どう使うのか、誰が判断するのかといった運用は曖昧であり、中国から見れば出方を読み切れない。
今回の改定でこれが明文化され、その線引きを探ることで、日本が「何をするのか/しないのか」はより明確になる。中国はそれを前提に戦略を組み直さざるを得ない。
重要なのは、変わるのが「対立の有無」ではなく「対立の質」である点だ。これまでの日中関係が孕んでいた曖昧で不安定な緊張は、能力と意思が見えた状態での構造的な対峙へと移る。
その結果、中国は日本の反応を織り込んで判断するようになり、誤算に基づく行動は抑えられ、軍事行動のハードルは高まる。つまり、新体制は日本の行動を縛るものではなく、「どこまでやるのか」を示すことで、抑止力として機能する基盤となるのだ。その意味で、今回の3文書改定は非常に大きな価値を持つといえるだろう。
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(元航空自衛官、ジャーナリスト 宮田 敦司)

「蓮舫批判で炎上、そして謹慎」朝日新聞を去った異色の記者が明かす“永田町の裏側”と“新聞社の限界”

―[インタビュー連載『エッジな人々』]―政治系ネット番組に連日出演し、時に政治家とけんか腰の大激論を行う“新人”フリー記者をご存じだろうか? 今年1月をもって朝日新聞を退職した今野忍氏だ。外資系コンサル大手から朝日新聞政治部記者に転身した経歴もさることながら、“朝日っぽくない”政治スタンスも異色。20年以上、政治取材に身を捧げてきた男の半生を“逆取材”した。◆口の悪い“ポスト池上彰” 今、最も勢いのある政治ジャーナリストといえば、この人か。「選挙ドットコム」や「ReHacQ」などの政治系ネット番組に出ずっぱりの今野忍氏だ。今年1月末には23年間勤めた朝日新聞を退社。50歳の“新人”は、かつて内側にいたからこそ知る政治と報道の裏側を容赦なく語り始めた。なぜ彼は今、これほどまでに支持を集めているのか──。男の素顔を丸裸にした。――毎日ネットでお顔を見ます。今野:選挙ドットコムは毎日出演していて、ReHacQには週2回ほど呼んでもらってます。ネット中心ですが、最近は民放の仕事も増えてきました。ただ、原稿を書く仕事は全然手につかない状況で、辞めてから2か月で2本しか書けてない……。――抜群のトーク力を発揮していますが、あれは昔から?今野:いえいえ、昔は普通の目立たない学生でしたよ(笑)。――どんな環境で育ったのか?今野:横浜生まれで毎日新聞の販売店を営む父のもとで育ちました。中学は地元の公立校で“まじめな帰宅部”だったから同級生の僕への印象は薄いと思う。――今の(※1)口の悪い今野さんからは想像もできませんね。今野:そんなに口悪い!? でも、高校時代はおしゃべりなキャラだったかも。県立の進学校に通ったんだけど、尾崎豊にドハマりして勉強しなかったから、1年生のときのテストは学年でビリから3番目でした。2人休みだったから実質ビリ。その後2浪して中央大学に進学しました。――朝日新聞記者だからエリートなのかと思ってました。今野:全然ですよ! 朝日には東大卒なんてゴロゴロいましたから、僕はゴロツキみたいなもの。でも、大学時代はバイトを頑張りましたね。2年生から住み込みの新聞奨学生をやったんです。毎日朝2時半に起きて朝日と日経新聞を配ってました。◆アクセンチュアで学んだことが、記者生活に生きた――新聞には縁があるけど、最初の就職先は異業種。今野:外資系コンサルのアクセンチュアに入社しました。なんか、モテそうだなという浅い理由で(笑)。あの会社、すごいことに入社直後にシカゴで新人研修をやるんですよ。リムジンで迎えに来てくれて、アメックスのコーポレートカードが配られる。僕はそれでGUCCIのサングラスを買いました。でもね、すぐ気づいたんですよ。「俺はITと英語が好きじゃない」って。だから、入社2週間で転職を考えるようになっていた。

さぬき市の県道を無免許で運転した疑い 僧侶の男を逮捕 香川

26日夜、香川県さぬき市で無免許運転をしたとして、市内の僧侶の男(66)が27日、道路交通法違反(無免許運転)の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、男は26日午後7時20分ごろ、さぬき市大川町の県道を乗用車で走行中、道路脇の街路灯に衝突しました。警察が事故の処理にあたっていたところ、男の無免許運転が発覚し、逮捕しました。
男は以前、運転免許を保有していましたが、現在は所持していないということです。
警察の調べに対して男は「交通事故を起こさなければ大丈夫と思った」と容疑を認めています。

秋田市浜田でクマの目撃が相次ぐ 体長は約1メートル 警察が注意を呼びかけ 25日・26日 秋田

秋田市浜田で25日、26日とクマの目撃が相次ぎました。
警察が注意を呼びかけています。
秋田中央警察署の調べによりますと25日午前8時45分ごろ、秋田市浜田字陣ヶ原の山林にクマ1頭がいるのを、秋田市の40代の女性が職場から目撃しました。
クマの体長は約1メートルです。
高齢者の福祉施設から約100メートルの場所で、付近にはコンビニエンスストアがあり、JR羽越線や国道7号が通っている地域です。
また、26日午前10時5分ごろには、秋田市浜田字滝ノ下の海岸で散歩をしていた秋田市の30代の男性が、クマ1頭を目撃しました。
クマの体長は約1メートルです。
最も近い民家までは約50メートルで、25日にクマが目撃された場所からは北西に約1キロの場所です。
警察が注意を呼びかけています。

尿検査で陽性反応…覚せい剤使用疑いで32歳の自称塗装工の男を緊急逮捕 福島

覚せい剤を使用したとして、32歳の男が緊急逮捕されました。
覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで緊急逮捕されたのは、郡山市に住む32歳の自称塗装工の男です。
男は4月中旬から26日までの間に、県内またはその周辺において覚せい剤を使用した疑いが持たれています。
尿検査の結果が陽性反応が出ていて、郡山警察署で緊急逮捕されました。
男は容疑を認めています。

仙北市角館町のホテルで客室の一部が燃える火事 けが人はなし 25日 秋田

25日夕方、仙北市角館町のホテルで客室の一部が燃える火事がありました。
けがをした人はいませんでした。
仙北警察署の調べによりますと25日午後3時半ごろ、仙北市角館町田町下丁の田町武家屋敷ホテルから出火しました。
通行人がホテルから火が上がっているのに気づき、消防に通報しました。
火は約3時間後に消し止められましたが、鉄筋コンクリートおよび木造一部2階建ての建物の一部、約6.24平方メートルを焼きました。
けがをした人はいませんでした。
火事ぶれを受けて従業員が確認したときには1階の客室部分が燃えているのを確認しているということです。
警察が出火の原因を調べています。

「え?高額療養費制度ってもう不妊治療に使えないの?」高市政権が通過させてしまった高額療養費制度改悪問題を考察する

〈負担費増をひた隠す政府と「2年毎の上限額検証・見直し」という卑劣な手法を繰り返す厚労省…2026年度高額療養費制度見直し案をめぐる今後の動きと問題点とは?〉から続く
医療費が高額になった場合、自己負担額を一定に抑える「高額療養費制度」。2024年末に政府・厚労省によって見直し案が出されると、尋常ではない支払い上限額の引き上げなどが波紋を呼んだ。疾患当事者や研究者をはじめとして、多くの批判を浴びた2024年度見直し案は、土壇場で一時凍結されることとなったが、今年の8月からは 2025年度見直し案での運用が始まる。 【図】今年の夏以降、年収200~370万円以下の人は高度な医療を受けることがものすごく難しくなる この一連の出来事を受けて日本の現行医療保険制度の問題点を多角的に検証したのが、自身が高額療養費制度利用の当事者でもある西村章氏だ。産婦人科医でこの見直し問題についてSNS等でも積極的な発信をしている宋美玄氏と西村氏に、医療保険制度のあり方について語り合ってもらった。
石破は止めたが、高市は改悪を押し進めた
西村 この対談をしている時点でも参議院で予算案の審議が続いています。配信時には高額療養費制度〈見直し〉案がはたしてどうなっているのか。まずはそこが非常に気がかりですよね(本対談は2026年3月25日に収録)。
宋 石破さんは一時凍結してくれたんですが、高市さんは止めてくれないのかな……。どうなんでしょう?
西村 政府が〈見直し〉案を進めたがる理由はいろいろあると思うんですけれども、ひとつは書籍『高額療養費制度 ひろがる日本の〈健康格差〉』の中でも説明をした「改革工程」の一環だから、ということが大きそうですよね。
実際に、高市内閣発足後の11月17日に発出した内閣総理大臣指示『社会保障改革の推進について』の中でも、「高額療養費制度の見直しをはじめとする全世代型社会保障構築のための『改革工程』に掲げられた医療・介護保険制度改革の着実な実現に向けた議論を進めてください」とすでに明記しているんですよ。
自民党総裁選の時に高市さんは、5人の候補者の中で唯一、高額療養費制度の自己負担上限額を引き上げに反対、と言っていたので、そこに若干の期待もあったと思うんですけれども、実際に内閣が発足してみるとこのような内閣総理大臣指示を出しているし、その少し前に行われた11月上旬の臨時国会でも、「高額療養費の引き上げはしないですね」という野党からの質問に対して曖昧な返答をする一方で、彼女自身も難病に罹患している当事者として「この制度を利用している人々や長期の疾患で治療している人の苦しさはよくわかっているつもりです」みたいなことも言っていたんですよね。
でも、12月末の予算案で引き上げを提示して、その後、衆議院選で圧勝した流れでこのまま押し切れると考えているのだろうと思います。
宋 それでいったい誰が得をするんだろう、と思うんですよ。だって、医療費も社会保険料もたいして削減できるわけじゃないのに、そこまで強引に進めたところで、結局は現役世代で運悪く高額医療が必要な病気になった人や、あとで詳しく説明しますけども不妊治療が必要な人たちに皺寄せが行くだけでしょ? 私は小さなクリニックを経営しているんですけれども、結局、困るのは中小企業の協会けんぽ加入者や国保の人という……。
付加給付(高額療養費が適用される治療を受けた被保険者に、さらに給付を行って負担を軽くする健保組合や共済組合の制度)のことも、あまり論じられていないですよね? 高額療養費制度だけでも「何それ?」みたいな状態で制度に詳しくない人が多いのに、さらに付加給付がある人とない人がいる、というところまではなかなか理解が進んでいないように思います。
西村 そういう制度があって当たり前、という世界に住んでいる人もいれば、僕もそうですけれども「何それ? そんなものがあるの?」という世界に住んでいる人もいる。誰しも自分が加入している健康保険のことしかわからないから、そこのギャップ、認識差は大きいですよね。しかも、付加給付のことを語る以前に高額療養費の自己負担上限額引き上げの説明だけですでにおなかいっぱいになってしまい、この問題がどれくらい現役世代に直撃するのか、ということが直感的に理解できない。
そもそもものすごく複雑な制度なので、自分自身が当事者になるまではピンと来ないだろうし、そんな人たちにとっては、去年、一時凍結になったことだって遠い世界の話なのだろう、と思います。
宋 全国がん患者団体連合会(全がん連)の天野慎介さんたちが頑張ってくださったおかげで去年は一時凍結されて、今回も年間上限額などが導入されましたけれども、いろんな疾患や治療に利用される制度なのに、一般的には「歳をとって運悪くガンにかかった人が大変になるのかな?」みたいなイメージを持っている人も多いと思います。
でも、たとえば女性がかかるがんって、年齢が若いんですよ。年間10万人くらいが罹患する乳がんの場合だと、40~50歳代がすごく多いんです。子宮頸がんはもっと若い。だから、現役世代のど真ん中ですよね。子宮体がんや卵巣がんの場合は50歳前後、卵巣がんだと60代くらいが多いので、そんなに高齢じゃない時期に罹患するがんがすごく多いんですよ。
西村 ひと昔前のイメージだと、がん治療は手術で患部を切除して、その後しばらく療養、というものだったかもしれませんが、今はだいぶそのあたりのアプローチも変わってきているようで、予後の再発防止や寛解を維持するために長期にわたって薬を服用し続ける治療が続くわけですよね。
加入する健康保険による「格差」とは
宋 そうですね。私は今50歳ですが、この数年、友達が続々と乳がんにかかっていて、手術や抗がん剤治療の後に数年間継続して非常に高価な薬を飲み続けなければなりません。だから、治療自体も大変ですが、医療費でも苦労をすることになります。
ある友人の場合は大きい会社の健保組合で付加給付もあったのでかなり助かったようですけれども、もしも高額な支払いが延々と続けば途中で治療を諦めてしまう人も出てくるかもしれません。
西村 付加給付といえば偶然なんですけれども、僕の妻が今月上旬に10日間ほど入院して手術をしたんですね。2月28日に入院して3月2日が手術、退院は9日だったので、3月分は高額療養費制度が適用されて自己負担が約8万円。2月は月が違うので1日分の費用を支払って、合計で10万円少々。僕は国保ですけれども彼女は企業の健保組合で付加給付もあるので、本人負担分は結局2万円になったんですよ。さらに、入院中と退院後の自宅静養期間も、休職中は健保組合から傷病手当金が支給される。
もしも僕が同じ病気で入院したとすると、国保は付加給付がないので自己負担の約8万円は全額支払わなければならない。しかも、傷病手当金もないから、仕事を休んでいる期間はただ収入がない期間が続くだけ、という状況になります。
宋 それって、大きい健保組合だから手厚い付加給付があって、傷病手当金も支給される、ということですよね。たとえばIT業界などは人口構成が若くて医療費を使わない人も多いから、健保の経営も比較的健全だし、病気に罹らないための予防医療などで医療費を減らす取り組みのモチベーションも上がりやすい、という話を聞いたことがあります。
そうすると、構成員が若くて伸びている業界や組織の健保は傷病手当や付加給付が手厚くて、一方ではそのような手当が何もない中小企業の協会けんぽや、個人事業主とかフリーランスの加入する国保との格差がどんどん大きくなる。
官僚の人は付加給付があるじゃないか、ということもよく指摘されます。でも、官僚だって天下りしたらどうなるかわからない。引退後も一定期間は保険の任意継続をできるようですが、それも2年程度ですよね。
西村 健保組合の付加給付は、企業や組織が自分たちの医療保険制度を手厚くしようと努力して頑張っている仕組みだけど、官僚の場合は給料から天引きの保険料が原資とはいえ、その給料の原資は税金なのになぜ付加給付があるのか。
宋 そこの不公平感はよく指摘されることですよね。官僚の人たちは高給ではないので、そういう制度があっても別にいいとは思うけど、そういう制度に恵まれていて痛みのわからない人たちによって決められてしまうのはおかしいよなぁ、とすごく思います。
西村 完全に他人事として扱っているような印象がありますよね。
宋 そもそも保険料を払う時点で、給料の高い人はたくさん払っているじゃないですか。でも、高額療養費は前年度の所得で区分が決まるから、病気で働けなくなったりして年収が減っても区分は前年度のままで、さらに高額な支払いがのしかかってくる。
しかも、本の中で説明されているように、転職すると多数回該当はリセットになるので、がんなどの病気になったり、不妊治療をして働き方を変えたりして年収が下がってしまう場合の想定はしていないですよね。高額療養費制度は非常に大切なセーフティネットなのに、まずそこに手をつけようとするのは、やっぱりどう考えてもおかしい。
「このままだともう制度が持たない」という政府のロジック
西村 この本の最初の方でかなり分厚く言及しましたけれども、なぜ高額療養費制度に手を入れるのかというと、最初に政府が言っていたのは「国民医療費の倍のスピードで高額療養費が伸びている」と。でも、実際の金額や具体的な対GDP比の伸び率で見るとまったくそうじゃないわけですよね。財政学者や医療経済学者の専門家諸氏も、国民医療費自体が今日明日にも破綻するような危機的状況にあるわけではない、と指摘しています。
宋 そもそも診療報酬を抑え続けて薬価もどんどん単価を安くして、伸びを抑えてきたんだから、医療費はそんなに大きく伸びてはいないですよ。ずっと50兆円弱ですよね。
西村 国民医療費自体は、名目値で見れば伸びていくものだと思うんですよ。名目GDPが伸びていくのと同じことで、人間が経済活動をすればそりゃ増えるでしょ、という話で。
とはいえ、一時凍結前に政府が主張していた「国民医療費を上回るスピードで高額療養費が増加している」というロジックはあまりにミスリードがひどくて、その理屈はもう使えないと思ったのかどうかはわからないですけれども、今回の引上げ案の際には「高額療養費の持続可能性を長期にわたって維持していくために」と言っています。でも、その「持続可能性がヤバい」って誰がどこで言ったの? と。
宋 そんなにヤバそうじゃないですよね。
西村 その根拠を何も言わないまま、いかにも「このままだともう制度が持たない」という印象を持たせるような言い方をしている。
宋 たとえば高齢者の医療費を3割に上げるという話題になると、日本医師会は受診回数が減って病院が潰れることを危惧するからなのかすごく反対しますが、これは私の邪推かもしれませんけれども、高額療養費の自己負担限度額を上げても病院経営に影響がないからなのか、医師会はあまり反対していないですよね。
西村 一時凍結される前から日本医師会はまったく反対してないですよ。厚労省の社会保障審議会医療保険部会にも高額療養費制度の在り方に関する専門委員会にも、日本医師会の理事の方が審議メンバーで入っていますが、まったく反対しないですからね。東京医師会は、最初に騒ぎになった去年の凍結案のときは、様々ながんや疾患の学会などと同様に、引き上げ反対の声明を出していましたけれども、日医は反対声明も出していません。
宋 医師の団体が何も言わなくて、結局は当事者である闘病中の患者さんたちが尽力して訴えるしかないという現状は、すごく残念です。
高額療養費問題の影響は「不妊治療」にも
宋 出産に関しては無償化の方向性なので、今のところ高額療養費問題の直撃はないと思うんですけれども、不妊治療は2022年に保険適用になっているので、「高額療養費の自己負担引き上げって不妊治療に直撃じゃないの?」って仲間の医師に聞いたら、「めっちゃ直撃……」って言っていました。たとえば年収600~700万円くらいの夫婦だと、見直し案でまさに大きな引き上げになる人たちですよね。
西村 年収400~700万円くらいの層は、勤労世帯のボリュームゾーンですね。
宋 しかも、不妊治療の当事者さん自体が自分に関係のあるニュースだとあまり思っていないように見えるんですよ。いざ引き上げになって、病院の窓口で支払うときに「えっ! 高額療養費制度ってもう不妊治療には使えないの? これだけ自己負担しなきゃいけないの……」ってびっくりするんじゃないか、という気がします。
厳密なことを言えば、不妊治療は病気ではないんですが、保険でカバーされるようになって子供が欲しいと願う夫婦が国から恩恵を受けているはずなのに、同じ不妊治療をしていても年収によって負担額が違うという状態が顕在化すると、当事者同士の間で不平等感がものすごく大きくなってしまうんじゃないか、ということが心配です。
しかも、子育ては所得制限のオンパレードで、所得次第で国からの扱いが逆転してしまうんですよ。子供に対して行うものに親の所得で差をつけること自体がすでにおかしいのに、授かる前から差が開いてしまうのはさらにおかしいですよね。
西村 高額療養費制度の公費負担分を削ろうとしたのは、こども未来戦略加速化プランのお金を捻出するために手をつけやすかったことが大きな理由のひとつだと思うんですが、子ども子育て支援金とか子ども未来戦略とか言いながら、不妊治療に悪影響があるのなら子どもや子育て支援に全然なっていない、というのが皮肉ですね。
宋 そうなんです。現役世代の財布から取って現役世代に「はい、手当を給付します。でも所得制限ね」みたいなことをやっていて、こっちにしてみれば「いや、そんなことしていらんねんけど」って(笑)。しかも、これで安くなる社会保険料は月に116円程度ですよね。それくらいの金ならセーフティネットのために払うよ、って誰もが言うと思うんですけど。
社会保険料を削るという「国民的合意」?
西村 おそらく2024年の衆議院選挙くらいの時期からだと思いますが、社会保険料を削ることが何か国民的合意のように言われ始めましたよね。
宋 私はちょうどロスジェネ世代なので、良い目を見たことのない我々ロスジェネ以下の世代の根底には「高齢者を支えるためにこれ以上負担するのが辛い」という裏の共通意識のようなものがあって、自分たちが高齢者になった時には今のような手厚い医療を受けられないんじゃないかと皆が思っている。
そんな世代間のくすぶりみたいなものがあるように思います。でも、現役世代の給付を削ることで社会保険料の負担を減らしてほしいと思っている人は、たぶんいないんじゃないかと思うんですよね。
西村 後期高齢者医療制度の財源は4割ほどが現役世代からの拠出金で賄われているので、そこに対する不満はよく指摘されることですね。ただ、現役vs高齢者という世代間対立を煽るのはあまり良くないと思うんですよ。現役世代が社会保険料に負担を感じているのは、高齢者のせいばかりではないだろうし。
とはいえ、社会保険料の支払いに重い負担を感じている現役世代が、月116円軽くしてもらうために高額療養費制度を毀損してもいいとは、先ほど宋さんがおっしゃったようにおそらく誰も思っていないと思うんですよ。なのに、衆議院や参議院での厚労省の言い分を聞いていると「だって皆さんは社会保険料を削ってほしいんでしょ? だから削っているんですよ」みたいな言い方なんですよね。
宋 それはすでに閣議決定しているからもうやるしかない、と思ってやっているんですか? あるいは財務省に言われているから……?
西村 そのあたりの事情に詳しい人は「財務省と厚労省の戦略的互恵関係」とよく言うんですが、要するに、お互いにとって合目的的であれば手を結ぶ、ということだと思います。財務省は何が何でも政府歳出を減らしたい。一方の厚労省は、自分たちの制度案を実現するという目的にかなうかぎりは協力する。厚労省の内部にもグラデーションがあって、「この制度に手をつけるのはよくない」と考えている人もいるみたいですが、とはいえ趨勢としては、「政府の改革工程ですでに決まっていることですから……」と粛々と進めているんじゃないでしょうか。
宋 本にも書いていましたけれども、政治家もあまりこの見直し案のことをよくわかってない、みたいな?
西村 当初はよくわかっていない人が多かったようです。去年の1月から全がん連とJPA(日本難病・疾病団体協議会)が与野党議員に精力的な要望活動を行って、それで問題に対する理解はだいぶ浸透していったんだと思います。今年の衆議院と参議院では、厚生労働委員会や予算委員会で野党議員から高額療養費の〈見直し案〉について、具体的で的確な指摘や質問がたくさんされているんですが、まったく聞く耳を持たないですね。
宋 それは厚労省が?
西村 上野厚労大臣と厚労省の保健局長。
宋 そうなんだ……。野党はSNSなどで高額療養費の問題についてアピールしているんですか?
西村 していると思います。ただ、世の中の関心がイラン戦争などの方に向かっているので、もともとこの問題に興味がある人以外には広くアピールしにくいのかもしれません。
宋 関心が別のところに、ね……。なるほど。私もたびたび高額療養費制度のことはSNSで発信するんですけど、毎回めっちゃバズりますよ。
西村 いつも拝見して、とても心強く思っています。
高額療養費制度 ひろがる日本の〈健康格差〉
医療費が高額になった場合、自己負担額を一定に抑える「高額療養費制度」。 自己免疫疾患の治療で長年この制度を利用してきたジャーナリストは、2024年冬に政府が発表した「改悪」案に不安と憤りをおぼえ、取材を開始する。 疾患当事者や研究者、政治家などの証言が浮き彫りにしたのは、健康に「格差」がある日本社会の現状や、セーフティネットとして十分に機能せず、〈世界に冠たる〉とは到底いえない医療保険制度の姿だった。複雑で入り組んだ高額療養費制度の問題を、一般書として初めて平明かつ多面的に解明する! ◆目次◆ 第1章 高額療養費制度とは何か 第2章 part1 政治的・財政的背景から読み解く〈見直し〉案 第2章 part2 患者団体は〈見直し〉案凍結と変更をどう実現させたのか?――天野慎介氏に訊く 第3章 2024・2025年の〈見直し〉案をひもとく――安藤道人氏に訊く 第4章 高額療養費制度に潜む「落とし穴」を検証する――五十嵐 中氏に訊く 第5章 「魔改造」を施された日本の医療保険制度と高額療養費――高久玲音氏に訊く 第6章 part1 司法の視点から高額療養費制度を検証する――齋藤 裕氏に訊く 第6章 part2 立法の視点から高額療養費制度を検証する――中島克仁氏に訊く 第7章 「健康格差」解消のために、どのような医療保険制度を構想すればよいのか?――伊藤ゆり氏に訊く 第8章 大局的な視野から日本の医療保険制度と高額療養費制度を考える――二木 立氏との一問一答

妻の遺体発見にいたらず 旭山動物園の焼却炉 「夫から脅迫」スマホで相談

焼却炉で妻の遺体を燃やしたと、旭川市旭山動物園の男性職員が供述していますが、まだ遺体は見つかっていません。
【画像】遺体が見つからないまま有罪判決が出たケースも
遺体がなくても逮捕や起訴は可能なのでしょうか。実は、過去にも似たようなケースがありました。
男性の妻は、先月下旬から行方不明
全国的にも有名な北海道の観光地の旭山動物園。ゴールデンウィークを目前に、捜査現場となりました。
警察は2日間かけて焼却炉の周辺や園内を調べましたが、遺体の発見には至っていません。
旭山動物園の男性職員(30代)
(※捜査関係者によると)

「妻の遺体を園内の焼却炉で数時間にわたって燃やした」
警察の任意の事情聴取にこう答えた男性職員は、妻の殺害をにおわせる供述もしています。
先月下旬から行方が分からなくなっている男性の妻。
行方不明の妻(30代)
(※捜査関係者によると)

「夫から脅迫を受けている」
スマートフォンのメッセージで、関係者に相談していたことも新たに分かりました。
旭山動物園の元職員によると、園内の焼却炉は動物の死骸から菌やウイルスが出ないよう、焼くと骨が残らないほどに火力が強いといいます。
遺体発見できない場合は?
問題は、本人が自供していても、遺体が見つからなければ逮捕や起訴のハードルが高くなることです。
一方で、6年前、遺体が見つからないまま有罪判決が出たケースがあります。
千葉県で行方不明になった妻を殺害・遺棄したとして、夫が逮捕・起訴されました。
夫は裁判で、事故死だと殺人を否認していましたが、殺人が認められ、懲役21年の有罪判決になりました。
事件が事実で、遺体が発見できない場合、立件するにはどのような証拠が必要となるのでしょうか?
元兵庫県警 刑事部長 棚瀬誠氏

「刃物で殺害したのであれば、ご遺体はありませんけど刃物という凶器が出てくる場合もありますし、殺害した場所に血液だけ大量にある。犯人しか知らない供述が得られ、裏付けできたとなれば、犯人が事実をしゃべっていることになる」
(2026年4月27日放送分より)

山林火災相次ぐ 福島でも…喜多方市の山火事は丸1日後も消火活動続く 少なくとも100ヘクタールが燃え178世帯に避難指示

各地で山林火災が相次いでいます。
福島県喜多方市でも、きのうから山林火災が発生していて、通報から丸1日たったいまも消火活動が続いています。
きょう、現場では雨が降っていますが、これまでに少なくとも100ヘクタールが燃え、人が住んでいない建物1棟にも燃え移ったということです。けが人や逃げ遅れは確認されていません。
喜多方市はこの火事に伴い、塩川町駒形地区の一部、178世帯に避難指示を出しています。