政府に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織の有志らが、「検査を実施せず臨床症状のみでの診断を検討する必要がある」との提言案をまとめた。無料検査に多くの人が押し寄せ、高齢者らが検査を受けにくい弊害も出ている。東京都の新規感染者は27日にも1万8000人超と推計され、「第6波」のピークは早ければ2週間後とされる。医療崩壊阻止へ方針転換は急務だ。
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提言案では、基礎疾患や肥満のない50歳未満の多くは感染しても症状は軽く、自宅療養で回復していると指摘。早ければ2週間前後でピークが訪れる可能性があり、感染が疑われる全ての人が検査・診療で医療機関を利用すれば、医療提供体制の能力を超える恐れがあると警告した。
コロナ以外の診療を両立させるためにも患者の状態に応じた受診・診断の在り方を検討する必要があるとしている。
検査をめぐっては、感染に不安を感じる人が無料で受けることが可能になり、感染拡大地域では高齢者など本来優先度の高い人の検査がしにくくなっている。
オミクロン株の症状については国立感染症研究所が20日、感染届け出時に肺炎などの重い症状だった人の割合について、2020年の流行の主流だったウイルスの約8分の1だったとの分析結果をまとめた。症状の変化やワクチン接種の有無は考慮していないが、感染研は「全年代で重い症状の割合が低下傾向にある」としている。
都のモニタリング会議では、27日時点で感染者が1日に1万8000人を上回るとの推計が明らかになった。その場合、入院患者は7000人を上回ると見込まれ、現在の都の確保病床数6919床をオーバーする。
元厚生労働省医系技官の木村盛世氏(感染症疫学)は「従来の策で対応しきれなくなっているということは、オミクロン株の重症化率が低く、風邪やインフルエンザに近いという現実に制度が追いついていないことを示している。検査についても臨床で症状を診断してからの副次的な対応という本来の考えに立ち返るべきだ」と指摘する。
方針転換の提言について木村氏は「遅くとも1年前に検討されていてよい話だった。収束後ではまた議論されなくなる可能性もあるので、『第6波』のうちに見直しすべきだ」と語った。