ニュースの核心 危うい対中融和、岸田政権〝楕円の理論〟 首相と外相が一字一句違わず「共存」目指すような発言、消し去られた日米共同声明

岸田文雄政権の「特異な外交姿勢」が明らかになってきた。岸田首相の施政方針演説や、「親中派」とされる林芳正外相の外交演説や講演などから、「自由」「民主」「人権」「法の支配」といった共通の理念を持つ同盟国・米国との連携強化を掲げながら、軍事的覇権拡大を進め、人権問題が指摘される中国にも「融和的」な発言が目立っているのだ。2人が所属する宏池会の伝統という「楕円(だえん)の理論」とは。岸田首相は21日夜、ジョー・バイデン米大統領とオンライン形式で日米首脳会談を行うが、この外交姿勢で信頼を回復することができるのか。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が迫った。 ◇ 岸田政権は「中国の脅威」に、どう立ち向かうのか。先週のコラムで指摘したように、そもそも習近平国家主席の中国を脅威と認識しているかどうか、が疑わしいのだが、やはり「中国とは共存を目指す」ような発言が明らかになった。 林外相が13日、日本記者クラブでの会見で、所属する派閥、宏池会の大先輩である大平正芳元首相の説を引き合いに、米国と中国の仲介役になる意欲を示唆したのだ。どういう話かと言えば、「楕円(だえん)の理論」なるものだった。 林氏によれば、大平元首相は「両立の難しいことを2つの円に例えて、1つの楕円にする努力をしなければならない」と説いた、という。林氏は「好きな言葉だが、外務省に来て、言葉の重みをかみしめている」と語った。 これを、現状に当てはめれば、2つの円が「米国と中国」を指すのは明らかだ。楕円にするとは「米国と中国の対立をなんとか丸く収める」という意味だろう。そのために、林氏は暗に「日本が仲介努力をする」と語ったのだ。 国会の外交演説(17日)で、林氏は、何と言っていたか。 東シナ海における中国の一方的な現状変更の試みには「冷静に、かつ毅然(きぜん)と対応していく」と述べつつも、日中国交正常化50周年を迎える中で、「建設的かつ安定的な日中関係の構築を目指す」と強調している。結論に当たる後段部分に真意があるのは、明らかだろう。 一方、岸田首相は施政方針演説(17日)で何と述べたか。 こちらは、「未来への理想の旗をしっかりと掲げつつ、現実を直視し『新時代リアリズム外交』を展開する」とぶち上げたが、肝心なのは、キャッチフレーズより中身だ。 中国について、どう語ったかと言えば、「国交正常化50周年を念頭に、建設的かつ安定的な関係の構築を目指す」と、林氏の外交演説をほとんど一字一句変えず、そのまま踏襲した。
岸田文雄政権の「特異な外交姿勢」が明らかになってきた。岸田首相の施政方針演説や、「親中派」とされる林芳正外相の外交演説や講演などから、「自由」「民主」「人権」「法の支配」といった共通の理念を持つ同盟国・米国との連携強化を掲げながら、軍事的覇権拡大を進め、人権問題が指摘される中国にも「融和的」な発言が目立っているのだ。2人が所属する宏池会の伝統という「楕円(だえん)の理論」とは。岸田首相は21日夜、ジョー・バイデン米大統領とオンライン形式で日米首脳会談を行うが、この外交姿勢で信頼を回復することができるのか。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が迫った。

岸田政権は「中国の脅威」に、どう立ち向かうのか。先週のコラムで指摘したように、そもそも習近平国家主席の中国を脅威と認識しているかどうか、が疑わしいのだが、やはり「中国とは共存を目指す」ような発言が明らかになった。
林外相が13日、日本記者クラブでの会見で、所属する派閥、宏池会の大先輩である大平正芳元首相の説を引き合いに、米国と中国の仲介役になる意欲を示唆したのだ。どういう話かと言えば、「楕円(だえん)の理論」なるものだった。
林氏によれば、大平元首相は「両立の難しいことを2つの円に例えて、1つの楕円にする努力をしなければならない」と説いた、という。林氏は「好きな言葉だが、外務省に来て、言葉の重みをかみしめている」と語った。
これを、現状に当てはめれば、2つの円が「米国と中国」を指すのは明らかだ。楕円にするとは「米国と中国の対立をなんとか丸く収める」という意味だろう。そのために、林氏は暗に「日本が仲介努力をする」と語ったのだ。
国会の外交演説(17日)で、林氏は、何と言っていたか。
東シナ海における中国の一方的な現状変更の試みには「冷静に、かつ毅然(きぜん)と対応していく」と述べつつも、日中国交正常化50周年を迎える中で、「建設的かつ安定的な日中関係の構築を目指す」と強調している。結論に当たる後段部分に真意があるのは、明らかだろう。
一方、岸田首相は施政方針演説(17日)で何と述べたか。
こちらは、「未来への理想の旗をしっかりと掲げつつ、現実を直視し『新時代リアリズム外交』を展開する」とぶち上げたが、肝心なのは、キャッチフレーズより中身だ。
中国について、どう語ったかと言えば、「国交正常化50周年を念頭に、建設的かつ安定的な関係の構築を目指す」と、林氏の外交演説をほとんど一字一句変えず、そのまま踏襲した。