滋賀県愛荘町で男性2人が十分な食事を与えられずに暴行され、死亡するなどした事件で、傷害致死、傷害の両罪などに問われた元少年(20)の裁判員裁判の公判が21日、地裁であった。検察側は、元少年と無職の小林久美子被告(56)からの虐待で脳に重い後遺症を負ったとされる同居男性(49)が次第に衰弱していく経過の一端を明らかにした。
検察側の冒頭陳述によると、男性は2017年3月から小林被告らと同居した。虐待は6月頃から始まったとし「元少年は小林被告とともに男性をいたぶって楽しみ、食事を与えず、奴隷のように扱う意図を有していた」と共謀関係を指摘。サンドバッグ代わりに殴るなどした元少年の日常的な暴力が男性が衰弱した一因だったとした。
また男性が17年10月に救急搬送された際、身長約1メートル60に対し体重はわずか32キロで体温は28度まで低下。臓器機能が落ちて心停止し、回復が見込めない認知機能障害が残ったとした。
弁護側は、小林被告の暴行を元少年が止めたことがあり、男性に食べ物を与えていたことにも触れ「共謀は成立しない」と主張。健康状態の悪化を招いたのは食事制限で、元少年の暴行は傷害罪の実行行為に当たらず、無罪だとした。