8年前の死亡事故、会社員に無罪判決…防犯カメラ映像保存せず「捜査機関の失策」

大牟田市で2013年に起きた事故で、自動車運転過失致死罪に問われた被告の会社員男性(32)に対し、福岡地裁は26日、無罪(求刑・禁錮1年8月)の判決を言い渡した。加藤貴裁判官は、事故直前の足取りを示す防犯カメラ映像が収集されていないことなどから「犯人と認めるには合理的な疑いが残る」と判断した。
被告は13年10月25日昼、同市の市道で新聞配達員溝田裕之さん(当時48歳)の原付きバイクを軽ワゴン車で追い越す際、対向車を避けようとして車をバイクの前かごに接触させ、溝田さんを対向車に衝突させて死亡させたとして起訴された。
事故を巡っては、遺族が起こした民事裁判でも被告は責任を否定され、刑事事件としても一度不起訴となったが検察審査会が「不起訴不当」を議決。再捜査の末、在宅起訴された。
加藤裁判官は、車に残った擦過痕はバイクとの接触で付いたとする検察側の鑑定を「矛盾しない限度で信用できる」としたが、別の機会に付いた可能性もあると指摘。被告が事故直前に立ち寄ったとされるコンビニ店の防犯カメラ映像を捜査機関が保存していないことについて「重要証拠を消失させ、捜査機関の失策というほかない」と述べた。
判決後、被告は「結果にほっとした」と話し、遺族は「やりきれない思いです」と語った。