医療サービスや薬の公定価格である診療報酬の4月からの改定内容が9日、固まった。不妊治療への公的保険の適用で、自由診療で高額になりがちな費用について自己負担の軽減を図るのが柱。また、新型コロナウイルスを含む新興感染症への備えで、医療機関が感染拡大への体制を整えた場合などに報酬を手厚くする。
同日、厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会(中医協)」がまとめた。不妊治療は一部を除き大半が公的医療保険の対象外だが、新たに人工授精などの一般不妊治療、体外受精や顕微授精を含む特定不妊治療に保険が適用される。「特定」では、採卵、採精から受精卵を子宮に戻す胚移植までが新たに対象となる。事実婚のカップルも対象で、自由診療の実勢価格を参考に設定した。特定不妊治療では開始時の女性の年齢を43歳未満とし、6回までと上限を設ける。
新型コロナ関連では、新興感染症の発生を想定した訓練に参加する診療所への新たな報酬を設けるなどの体制強化を図った。これまで臨時的な取り扱いだった人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を使用した際の報酬体系も明確にした。
新型コロナ下で特例で解禁されたオンライン診療は、初診からの利用が恒久化される。初診料は対面(2880円)の9割程度の2510円。特例での2140円から引き上げ、医療機関での普及を促す。
一定期間に繰り返し薬局で薬を受け取れる「リフィル処方箋」も導入する。期間内は受診せずに済むため、医療費節減につながる。大病院への患者集中を防ぐため、紹介状なしで受診した患者に初診で5000円以上を求める追加負担は、7000円以上に上がる。
家族の介護や世話を担う子ども「ヤングケアラー」について、教育機関などと連携して支援した医療機関に報酬を上乗せする。日常的に医療行為が必要な「医療的ケア児」が通う保育所や幼稚園、高校に診療情報を提供した場合、報酬を加算する。
診療報酬は、2年に1度改定される。政府は昨年末、今年4月の改定について、医師の技術料にあたる「本体部分」を0・43%引き上げ、薬と医療材料の公定価格「薬価」を1・37%引き下げることを決定。報酬は診療行為ごとに細かく単価が設定されており、今回配分の詳細を決めた。患者が実際に支払う診察料や薬代は、自己負担割合(1~3割)によって異なる。【神足俊輔】