聴覚障害者が手話で伝える戦争 大連盲学校卒業生の証言をDVDに

日中戦争中に日本の租借地、中国・大連にあった大連盲(もうあ)学校について、卒業生の太田節生さん(94)=神戸市西区=の証言を収録したDVDが完成した。激動の昭和時代を生きた聴覚障害者が手話で伝える。DVDは字幕付きで、製作した一般社団法人「デフサポートかもめ」(中央区)は「手話がわからなくても多くの人に見てほしい」としている。
太田さんは幼少期に右耳の聴力を失い、小学校に入学できないまま、家族と大連に渡った。9歳で大連盲学校に入り、初等部を卒業後は造船の仕事に従事。敗戦を経て帰国するまで、友人や知人の壮絶な最期に遭遇した。引き揚げ後は大阪で洋裁業を営み、聴覚障害者の相談員を務めた。
聴覚障害者のコミュニケーション向上を目指す「かもめ」のメンバーらが同学校の歴史を後世に伝えていこうと、2021年5月から半年間、太田さんを取材、撮影した。同8月には、戦時中の聾(ろうあ)史にふれる集会を開き、参加者約60人の中から新たな情報が寄せられた。かもめの理事で自身も聴覚障害がある高田英充さん(65)らは関係者への聞き取りや史料掘り起こしの意義を再確認し、「大連盲学校史を記録・保存する会」をつくった。
DVDは高田さんが撮影、編集。前後編の2枚組みで各約40分。太田さんの学校時代や敗戦時の体験、帰国までの証言を記録。手話のため、音声はない。1組3000円(送料180円)で販売し、収益は同学校に関する新たなDVDや書籍作成に活用する予定。購入は「デフサポートかもめ」のファクス(078・330・4187)やホームページで受け付けている。【木田智佳子】