一般に重症化率や死亡率は高くないとされる新型コロナウイルスのオミクロン株だが、高齢者にとっては深刻な数字が判明した。大阪府の分析で、感染第6波の重症者の約3割、死者の約7割を80代以上が占めていることが分かった。
府の最新の感染状況分析によると、昨年12月17日以降に確認された重症者のうち80代以上が28・9%だった。昨夏の第5波の6・7%、昨春の第4波の12・3%と比べて大きく増加した。
死者のうち80代以上の割合も69・9%を占め、吉村洋文知事は9日の記者会見で「高齢者に感染が広まると死亡も増える」と危機感を示す。
府内では入院患者の8割が60代以上で、入院調整中となっている60代以上の感染者の割合も、1月上旬の5割超から2月初旬には8割超に増加。それに伴い、酸素投与が必要な「中等症2」以上の感染者の割合も1割弱から4割超に増えた。
高齢者施設でもクラスター(感染者集団)の発生が相次いでいることから、吉村知事は同日、岸田文雄首相とオンライン形式で会談し、抗体薬「ソトロビマブ」に関し、感染が疑われる患者(疑似症患者)への投与を認めるよう要請。同薬の投与実績が高い病院や感染拡大地域では国が医療機関ごとに設けている在庫数の上限を撤廃するようにも求めた。
府はまた、高齢者施設での重症化予防を促進するため、往診する1施設ごとに30万円を協力金として医療機関に支払う制度も導入する。
元厚生労働省医系技官で医師の木村盛世氏(感染症疫学)は「日本の平均寿命が80代ということもあり、80代の重症者や死者を減少させることは不可能に近い。協力金を出しても医療機関の逼迫(ひっぱく)を招くだけではないか。高齢者施設や家族らの間で、感染したときにどう対応するかをしっかり話し合っておくことの方が重要だろう」と指摘した。