「気分すっきり」「美容にいい」自然雑貨店にも置かれるCBD製品、一部に違法成分…国が回収求める

大麻草の茎や種子から抽出される成分「カンナビジオール」(CBD)を使った製品の流通が国内で広がる中、一部の製品に違法な有害成分の混入が見つかり、国が回収を求める事態となっている。CBD自体は大麻取締法の対象外で、中毒性もない。海外では医薬品としても承認されているが、専門家は有害成分が混入した製品が流通しないよう検査態勢の充実を求めている。

「リラックスしたい時におすすめ」。大阪・ミナミの自然雑貨を扱う店の一角にあるCBD製品の特設コーナー。ポップ広告とともに、美容クリームやオイル、サプリメントなど1000円前後から4万円近いものまで80種類以上が並び、若者が熱心に見つめていた。
CBD入りグミを買った京都府京田辺市の女性(22)は「気分がすっきりし、美容にもいいとSNSで見たので買いに来た」と話した。
大麻取締法は、大麻草のどの部位かで規制対象かどうか定めており、成熟した茎や種子から抽出したCBDは法の対象外。厚生労働省によると、幻覚作用や中毒性もないという。
CBD製品は2010年代前半から海外で広まり、難治性のてんかん治療薬として18年には米国で、19年には欧州でCBDを用いた医薬品が承認された。国内でも厚労省が同年に治験目的での使用は可能との見解を示し、CBD製品の輸入が急増したという。

製品は量販店や大手通販サイトでも販売され、「CBD」で検索すると数万件が表示される。SNSで紹介する芸能人もいるが、違法な有害成分が混入した製品が見つかっている。
大麻草の花や葉に含まれる「テトラヒドロカンナビノール」(THC)は高揚感を生じさせるなどの作用や中毒性があり、化学合成したTHCは麻薬取締法で麻薬に指定されている。

厚労省が20~21年、CBDを含む製品64点の成分を分析したところ、15点からTHCが検出され、販売中止と回収を求めた。厚労省の担当者は「混入が故意であれば、摘発の対象になる可能性がある」と話す。
一方で、回収を求められた会社の代表は「海外の製造元から大丈夫だと聞いていた」と戸惑いを隠さない。
また、「リラックス」や「安眠」などの効果をうたって販売しているケースが目立つが、国立精神・神経医療研究センターなどによると、国内では研究が進んでおらず、海外でもてんかんへの効果以外はよくわかっていないという。宣伝する効果が実証されていなければ、医薬品医療機器法や景品表示法などに抵触する恐れがある。

CBD製品はいずれも海外から輸入されている。輸入品は、関東信越厚生局が海外の製造元の証明書をチェックしているが、混入が起きるのは、成分の分析まではしていないためだ。
一般社団法人「日本カンナビジオール協会」(東京)の伊藤俊彦代表理事は「微量ならTHCを含んでも合法とする国から輸入したのではないか」と推測する。
こうした事態がCBD製品全体が違法薬物であるかのような誤解を広げることにつながっており、SNS上には「CBDでハイになる」といった書き込みもある。かつて大麻を使用したことがある関東地方の男性(42)は「CBD製品をきっかけに大麻や薬物に興味を持つ人が出るのでは」と懸念を示す。
薬物問題に詳しい横浜薬科大の篠塚達雄特任教授(法中毒学)は「効能や安全性が確認されないまま、

嗜好
(しこう)品としての利用が広がっているのは問題だ」と指摘。その上で「輸入時に検査するなど、問題のある製品を流通させない仕組みが必要だ。違法薬物に興味を持つきっかけにならないよう薬物教育も充実させていくべきだ」としている。