林芳正外相の外交姿勢・能力が問われている。世界各国がロシア軍によるウクライナ侵攻を批判するなか、駐日ウクライナ大使が面会を要望したのに約1カ月間も「放置」していたというのだ。これまでも、林氏には外相としての資質を疑うような言動があったが、評論家の屋山太郎氏は「外相失格。更迭すべきだ」と言い切った。
国民民主党の川合孝典氏は2日の参院予算委員会で、驚くべき指摘をした。同党会派の議員が2月末、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使と面会したとき、「ロシア軍の侵攻の予兆を、林外相に直接説明したかったが、1カ月前から実現していない」と伝えられたというのだ。
河合氏は「政府の対応は極めて緩慢」として、面会要請を「放置」している理由を問いただした。
林氏は「私自身は、大使からの面会要望は承知していなかった」「こういうことがないように、しっかりやっていきたい」と答弁した。
川合氏は「もし、外務省が面会要請を勝手に止めていたのであれば、著しい越権行為になる」と攻め立てた。
ウクライナ情勢は昨年末から緊迫化していた。大使からの要請を待たず、林氏が進んで面会すべきだったのではないか。
林氏は予算委員会を終えた後の2日夕、やっと外務省でコルスンスキー大使と面会した。林氏の外相としての資質が問われる出来事は多々ある=別表。
岸田文雄首相が2月15日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話会談を行った際も、直前にロシアのマクシム・レシェトニコフ経済発展相と経済協力について協議していた。
ロシア軍がウクライナ侵攻を始めた同月24日、ミハイル・ガルージン駐日ロシア大使に抗議した際も、手元のメモを読んでいた。
林氏の一連の言動をどう見るか。
屋山氏は「林氏は対中外交ばかりか、ロシアへの対応でも腹が座っておらず、弱気だ。ウクライナ危機は『自由主義』と『専制・共産主義』の戦いという強い意識で臨むべきだが、林氏では日本の国益が失われかねない。もはや外相失格だ。岸田首相は即刻、更迭すべきだ」と語った。
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◆林外相の資質が問われる主な出来事
2月15日 ウクライナ情勢が緊迫化するなか、ロシアの閣僚と日露の経済協力を協議した
2月24日 ロシアの軍事侵攻に対し、手元のメモを読みながら駐日ロシア大使に抗議した
3月2日 駐日ウクライナ大使からの面会要請を、1カ月も「放置」していたことが発覚