政府は8日、民事裁判の全面IT化を実現する民事訴訟法改正案を閣議決定した。提訴から判決まで一連の手続きをオンラインで出来るようにし、裁判の迅速化や利便性の向上を図る。また、懲役と禁錮の両刑を一元化した「拘禁刑」の創設と、侮辱罪の法定刑引き上げを盛り込んだ刑法などの改正案も閣議決定された。政府はいずれの法案も今国会での成立を目指す。
民訴法の改正案は、▽訴状をインターネット上で提出できるようにする▽弁論期日に当事者がネットを通じて参加する「ウェブ会議」を認める▽判決は電子データで作成し、訴訟記録は裁判所のサーバーにアクセスして閲覧できるようにする――ことが柱。
法改正が実現すれば、裁判手続きは全面的にIT化される。裁判官はこれまで通り、裁判所の法廷内で手続きを進めるが、当事者は一度も裁判所に足を運ばずに判決を得られるようになる。ネットでの訴状提出や記録閲覧を含む全面施行は2025年度になる見通し。
改正案には、DV(家庭内暴力)や性犯罪の被害者らが個人情報を秘匿して民事裁判に臨める制度や、原告、被告双方が同意すれば半年以内に審理を終わらせる新たな裁判手続きを導入するための規定も入った。
一方、刑法などの改正案では、受刑者に対し、刑務作業や教育を柔軟に組み合わせた処遇を行えるようにするため、懲役刑と禁錮刑を廃止して「拘禁刑」を創設する規定が盛り込まれた。刑の種類が変更されるのは、明治40年(1907年)の刑法制定以来、初めて。
また、インターネット上の
誹謗
(ひぼう)中傷対策として、侮辱罪を厳罰化する。現在は「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」となっている同罪の法定刑に、「1年以下の懲役・禁錮、または30万円以下の罰金」を追加する。