川崎市の老人ホームで入所者3人が相次いで転落死した事件で、殺人罪に問われた元職員今井隼人被告(29)の控訴審判決が9日、東京高裁であった。細田啓介裁判長は死刑とした一審横浜地裁の裁判員裁判判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。
直接証拠が乏しく、捜査段階で3人の殺害を認めた被告の自白の信用性が最大の争点だった。細田裁判長は、被告の供述が自発的なことや同時期に家族にも殺害を告白したことなどを挙げ、一審同様に自白の信用性を認めた。
「警察にマスコミから守ってほしくて虚偽の自白をした」との被告の説明については「自白当時、取材が押し寄せていた状況はなく、合理的な説明とは言えない」と指摘。心理学者の鑑定結果に基づき「被告が体験していないことを語っている」との弁護側の主張も退けた。
その上で、3人を転落死させた残酷さなどを踏まえ、「事件の重大性、悪質性は際立っているとの一審の評価は相当で、死刑に処した量刑が重過ぎて不当とは言えない」と判断した。
判決によると、今井被告は2014年11~12月、勤務先の有料老人ホームで、入所者の丑沢民雄さん=当時(87)=、仲川智恵子さん=同(86)=、浅見布子さん=同(96)=を4階と6階から転落させ、殺害した。
[時事通信社]