発生から11年 新型コロナも影響、犠牲者追悼のあり方に変化

東日本大震災は11日、発生から11年を迎えた。発生時刻の午後2時46分、被災地各地では人々が黙とうをささげ、あらためて命の重みをかみしめた。一方で、11年がたち追悼のあり方は変化している。
関連死を含め約1800人の犠牲者が出た岩手県陸前高田市。市主催の追悼式には遺族ら約150人が参列した。榊原昴さん(29)は自宅から高台に避難する途中で津波にのまれ、一緒にいた16歳の妹を失った。「妹を助けられず、謝ることしかできなかった。これ以上つらいことはないと思うから、逆に強く生きてこられた」。今は僧侶になるため東京の大学に通う。追悼式は地元に戻る機会でもあり、これからの一年に向けて気持ちを新たにする。
河野和子さん(79)は津波で亡くなった当時73歳の夫を思い、手を合わせた。記憶の風化が心配といい、「この日に震災があったと認識するため、追悼式は継続すべきだ」と語った。
ただ、新型コロナウイルスの影響もあり、今年から追悼式をやめるなどした自治体は多い。岩手県の沿岸12市町村のうち開催したのは半数ほど。宮城県でも沿岸15市町のうち従来通りに開催したのは2市のみで、3年ごとの開催に変更したところもある。福島県の自治体も一部で規模を縮小したり参加者を遺族と来賓のみに絞ったりしている。
政府主催の追悼式も震災10年を最後に今年は開催されなかった。岸田文雄首相は福島市で開かれた福島県主催の追悼式に出席。哀悼の意を表した上で「大きな犠牲のもとに得られた貴重な教訓を風化させず、災害に強い国づくりを進める」と述べた。西銘恒三郎復興相は、国会対応のため追悼式には参加しなかった。
一方、津波などで182人が犠牲になった福島県浪江町では遺族会が最後の慰霊祭を開き、解散した。結成から10年。遺族の高齢化が進み、町内外での避難生活は長期に及ぶ。東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示で捜索が打ち切られたことから、遺族会は東電に謝罪と賠償を求め、和解した。両親を失った会長の川口登さん(72)は「助かる命も助からなかった」と憤り、解散を決めたことについては「区切りは致し方ない。だんだん前に行かなきゃいけない」と話した。【安藤いく子、寺町六花】
6町村、今春以降に避難指示解除
警察庁によると、東日本大震災の死者は1万5900人、行方不明者は2523人。復興庁のまとめでは関連死は2021年9月現在で3784人。全国の避難者は福島を中心に3万8139人に上る。
東京電力福島第1原発事故による福島県の帰還困難区域に設定された6町村の復興拠点は今春以降、避難指示が解除される。拠点以外は帰還を希望する住民が20年代に戻れるよう除染を進めるが、全域での実施を求める声も上がる。【関谷俊介】