泣き叫ぶ被害女児、3分以上首絞めた被告の殺意を認定…死刑選択しなかった「量刑判断は相当」

「弱者を狙った無差別的な事件だが、場当たり的、偶発的な犯行」――。新潟市西区で2018年、下校途中の小学2年の女児(当時7歳)を殺害したとして、殺人罪などに問われた小林


(はるか)被告(27)の控訴審判決で、東京高裁(大善文男裁判長)は17日、無期懲役とした1審・新潟地裁判決を支持し、検察、弁護側双方の控訴を棄却した。検察は死刑を求めていたが、大善裁判長は「極刑がやむを得ないとまではいえない」と述べ、1審に続き、死刑を回避した。
弁護側は有期懲役刑を求めており、判決後、上告する意向を示した。
判決によると、小林被告は18年5月、女児を車ではねて後部座席に乗せ、首を絞めて気絶させて連れ去った。同区の駐車場に止めた車内でわいせつな行為をした際、女児が意識を取り戻して声を上げたため、首を手で絞めて殺害。遺体をJR越後線の線路に遺棄して電車にひかせた。
小林被告はこの日、黒色のスーツに白色のシャツ、ノーネクタイ姿で法廷に現れた。坊主頭で頬はこけ、やせた様子で、着席後はしきりに目をつぶっていた。大善裁判長が判決文を読み上げる間は、時折手元にある判決文に目を落とし、静かに耳を傾けていた。

控訴審では1審に続いて殺意の有無が最大の争点となった。
弁護側は「気絶させるためで、殺意はなかった」、検察側は「少なくとも3分以上首を絞めた。犯行の発覚を防止するためで、強固で確定的な殺意が認められる」と主張していた。
これに対し、高裁は「気絶させる意図だったという被告の供述を否定できない」とした一方、「首を絞める行為は窒息死を招く危険な行為であることは自明」と指摘。「死ぬかもしれないと認識しながら首を絞めた」とした1審の判断を支持し、「未必の殺意」にとどまるものの、殺意を認定した。
また、犯行の計画性については、「泣き叫んだ被害者の声が周囲に聞こえないよう、気絶させようとした。被告はその場その場の状況に対応して犯行を行った」などとし、計画性を認めなかった。
量刑については、「被告の刑事責任は非常に重い。遺族が極刑を強く求めるのは当然であるし、検察官が死刑を求めることも理解できないわけではない」としながらも、1983年の最高裁判決が示した死刑選択の基準である「永山基準」に照らし、殺害の計画性が認められないことや過去の同種事件の量刑傾向などを踏まえ、「死刑を選択しなかった原判決の量刑判断は相当」と判断した。

この日の判決には、被害者参加制度を利用して女児の父親も出廷。判決宣告後も表情を変えることなく、淡々と判決内容を紙に書き留めていた。

元東京高裁部総括判事で、刑事事件の量刑に詳しい原田国男弁護士は「1審と事実の認定がほとんど変わらず、殺害の計画性が認められなかった。遺族感情は理解できるが、裁判員裁判の意見を尊重する傾向と照らして相当な判決」と話した。
判決要旨

新潟市西区の女児殺害事件で、東京高裁が17日、小林被告に言い渡した控訴審判決の要旨は次の通り。
【主文】
本件各控訴を棄却する。
【殺意の有無】
首を絞めた時間が3分以上であったとしても、気絶させるためだったという被告人の供述を排斥できない。強固な殺意に基づくものではなく、未必的な殺意にすぎない。
【医師の証言の信用性】
医師の資質及び能力に疑わしいところはない。被害者の写真について、専門医の立場から内容的にも不自然とはいえない説明をしており、見方として十分納得できる。
【小林被告の供述の信用性】
被告人の捜査段階の供述は自然で、創作によるとは考えにくい具体性を有している。捜査官の誘導や教示で出るような内容ではなく、自ら身ぶり手ぶりを交えて自発的に発言しており、信用できる。
【量刑】
被害者が泣き叫んだことに慌て、被害者を気絶させようとしたのであるから、本件殺害行為は場当たり的で偶発的な犯行というべきだ。動機も、犯行の発覚を免れようと積極的に命を奪おうとしたものではない。死刑を選択しなかった原判決の量刑判断は相当。
【結論】
検察官及び被告人の本件各控訴の趣意はいずれも理由がない。