入所者死亡、大阪地検が控訴断念 福祉施設職員の無罪確定へ

大阪府茨木市の障害者福祉施設で2019年3月、入所者の男性(当時30歳)に暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死罪に問われた施設職員の伊住(いずみ)祐輔さん(43)を無罪(求刑・懲役8年)とした16日の大阪地裁判決について、大阪地検は30日、控訴を断念したと発表した。控訴期限の同日が過ぎれば、伊住さんの無罪が確定する。
伊住さんは勤務中だった19年3月、施設で男性の首や腹部を圧迫する暴行を加えて窒息死させたとされた。大阪府警が同6月に逮捕し、地検は傷害致死の罪で起訴したが、伊住さんは一貫して暴行を否定し、無罪を訴えた。
検察側は公判で、遺体の司法解剖を担当した医師の見解に基づいて「首に骨折がみられ、強く圧迫されたことは明らか」と主張。一方、弁護側の依頼で男性のCT画像を鑑定した別の医師は「首の骨折は認められない」と証言した。
地裁の裁判員裁判判決は、医師の証言や救急搬送時の診断内容を踏まえ、男性が不整脈を発症して突然死した可能性が否定できないと判断。男性の腹部にあった多数のけがは救命措置で生じた可能性が否定できず、「(伊住さんが)暴行を加えたとするには合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡していた。
地検は控訴の断念に際し、「判決には不満が残るものの、関係証拠を精査した結果、新規の立証などで判決の認定を覆すのは困難だと判断した」との談話を出した。【山本康介】