田中英寿前理事長の所得税法違反事件などの不祥事を受け、外部有識者らがガバナンス(経営統治)改革案を検討する「日本大学再生会議」は31日、答申書を日大に提出した。前理事長への権力集中が不祥事や統治不全を招いたとして、最高議決機関「理事会」と諮問機関「評議員会」の3分の1以上に外部人材を充てることを提言。現理事をすべて退任させた上で、次期理事長は、日大運営に関与したことがない学外の人物を選ぶことなども求めた。
田中前理事長は2008年から13年にわたり理事長を務め、自身に近い同窓会組織「校友会」出身の卒業生や職員らを役員に多数選出してきた。答申書は、法人運営について「前理事長への権限集中と報復人事による法人の支配が、事件やガバナンスの機能不全を招いた」と指摘。「一人の者による専横を許さない」として、現在の理事や評議員、学長らを退任させるよう求め、体制の一新を促している。
法人の寄付行為(基本規則)にも踏み込み、理事会については、日大の卒業生や元教職員ではない外部人材が3分の1以上を占める構造とするとした。権力集中を防ぐため、理事長の任期は最長2期8年に制限。理事長の選出方法についても、外部有識者が一定数入った選考委員会が理事会に候補者を推薦する仕組みも必要と明記した。
次期理事長については「学外者から迎えることが日大再生に向けた決意の表れとなる」と言及した。評議員会のチェック機能の強化も促し、理事長や常務理事らは評議員と兼務できないこととし、理事や理事長の解任権限も与えるとした。
また、日大を巡る一連の事件を調査している外部の弁護士による「第三者委員会」が同日公表した報告書では、田中前理事長と元理事ら計8人に不正を防止する任務を怠った義務違反があると認定。答申書では8人の責任を追及し、将来にわたって理事や評議員から排除することも求めた。
今後、日大は答申書を踏まえ改革案を策定し、文部科学省に報告する。ただ答申に法的拘束力はなく、ある日大の教授は「田中氏を支えていた教職員もいたことから、予断を許さない部分はある。大学とは何かを一人一人の教職員が考えて、その役割を担えるかどうかだ」と指摘した。
「独裁体制、2度と作らず」
評議員を務めた竹内幸雄元商学部教授は「独裁体制を二度と作らないための最低限の措置を講じるものだ。ただ、喉元を過ぎれば危機感が薄れていき、理事長権限が復活する可能性がないとはいえない。現場の若手教員らの意見を取り入れるような仕組みを作り、外部人材の選出も、透明性の高い形で道筋を付けてほしい」と話した。【遠藤大志、田中理知】