北海道新聞の記者とキャップを不起訴処分に 旭川区検

北海道旭川市の旭川医科大で2021年6月、立ち入り禁止の場所で取材したとして建造物侵入容疑で書類送検された北海道新聞の20代の女性記者と、当時現場責任者(キャップ)だった40代の女性記者=いずれも旭川支社所属=について、旭川区検は31日、いずれも不起訴処分にした。区検は処分理由を明らかにしていない。
20代の記者は21年6月22日夕、学長解任を審査する学長選考会議を取材する際、立ち入り禁止とされた同大構内にキャップの指示を受けて許可なく立ち入ったとして書類送検された。記者は建物内の廊下で取材中に現行犯逮捕された。携帯電話のやり取りなどから、大学が禁じた構内での取材は、キャップの指示のもとで行われたと判断された。
不起訴を受け、北海道新聞社の小林亨編集局長は31日、「検察の判断は旭川医大の建物への立ち入りが取材目的だったことも考慮されたと受け止めている。取材の仕方に反省点もあり、再発防止に取り組んでいる。教訓を生かし、信頼を得られるよう全力で取材、報道していく」とのコメントを出した。【谷口拓未、高橋由衣、土屋信明】
◇立教大・服部孝章名誉教授(メディア法)
記者の行為は正当な取材に当たり、不起訴は当然の判断だ。ただ、これまでの北海道新聞社の姿勢には報道機関としての矜持(きょうじ)が乏しいと感じた。メディアへの信頼性が揺らぐなか、道新は記者を逮捕した警察の対応の問題点を指摘することなく、唯々諾々と従ったようにもみえる。
信頼回復のためには自ら記者会見を開き、報道機関としてこの問題をどう捉えるのか、背景も含めて徹底的に説明すべきだ。紙面での説明だけでなく、読者らからの反応も加味して議論を深めていく必要もあるだろう。そうしなければ、読者からの信頼だけでなく、表現の自由自体が痩せ細っていきかねない。
ジャーナリスト・大谷昭宏さん
不起訴の結果は当然。そもそも記者を勾留した道警の対応は極めて不適切であり、検察は積極的に立件する事案ではないと判断したのだろう。
逮捕された記者は現場で取り押さえられた際、社名などを名乗らなかったというが、調べればすぐに分かることだ。建造物侵入を犯したとして約2日間にわたり拘束するのもおかしい。取材中であることを考慮すべきで、これでは取材活動がいたずらに制止される危険がある。
一方、今回の記者の行為について、道新は誰の指示だったのかを明確にしていない。現場だけの責任とすれば、取材活動が萎縮してしまう。第三者を交え、検証結果を公表すべきだ。