上皇ご夫妻は12日、東京・元赤坂の
仙洞
(せんとう)御所への転居に伴い、仮住まい先の東京・高輪の仙洞仮御所を後にされた。2年間の仮住まい生活の中で、ご夫妻は近隣の保育園児や住民らと交流を重ね、多くの思い出を作られた。
ご夫妻は午前10時半頃、車で仙洞仮御所を出発。窓を開け、仮御所前に集まった近くの愛星保育園の園児らに手を振られた。
側近や園によると、ご夫妻との交流が始まったのは、2020年3月末の仮御所入居から8か月近くたった同11月。新型コロナウイルス禍で外出先が制限された園児らが、ドングリ拾いの途中に、木々が生い茂る仮御所に立ち寄ったのがきっかけだった。
庭のドングリを持ち帰った園児らは、画用紙に絵を描き、ドングリを貼り付けた作品をご夫妻に贈った。上皇后さまは「きれいな作品をいただいて本当にうれしいわ」と大変喜ばれたという。
その後も、園児は上皇さまの誕生日にハゼを描いたカードを、上皇后さまの誕生日にはフェルトで作った花束を贈った。今回の引っ越しに当たり、園児らは園で育てたフウセンカズラの種と「保育園のことを忘れないでください。いつも日本のことを見守ってくれてありがとうございます」という内容が書かれたカードを贈った。ご夫妻は園児の作品を大事そうに部屋に飾られていたという。
側近によると、ご夫妻は毎日、庭を散策された。高い木々に囲まれている反面、建物は平屋建てで低いため、上皇后さまは「ここは空が広く感じられる」と、上皇さまと一緒によく空を眺められた。
隣のマンションのベランダに立つ住民から声をかけられ、和やかに応じられることもあった。側近は「ご夫妻は、高輪が思い出深い場所になったと話されている。地域の方々と温かく、ほほえましいつながりを持てたことを、とてもうれしく思われている」と話す。
ご夫妻は、荷物の搬出作業中は神奈川県の葉山御用邸に滞在し、26日に新居の仙洞御所に入られる。