一億総貧困時代を迎える日本。本当に恵まれていないのはどの世代か? バブル世代、団塊ジュニア世代、ポスト団塊ジュニア世代、プレッシャー世代、ゆとり世代、Z世代の6つに分類した場合、歩んだ道のりと待ち受ける将来から不幸No.1は「団塊ジュニア世代」(’71~’74年、現47~50歳)という。
◆“高齢者がつくった社会”こそ日本の諸悪の根源だった!
「47歳から50歳の団塊ジュニア世代に未来はない」と断言するのは、自身も団塊ジュニアど真ん中、作家で投資家の山本一郎氏だ。世代特有の不幸の連鎖とは……?
「同年代のサラリーマンに話を聞くと、『親の介護と子育てが、同時にきてとにかく辛い』と嘆く人も多いです。晩婚化でまだ子供に手がかかるのに、自分の両親や奥さんの親の介護ものしかかってくる。そして出費がかさんでカネがない。その結果、介護のために休職や離職をするしかなくなって、より生活が困窮する連鎖に落ちていく……と。これは上の世代がつくった、古い社会構造の中で働いているからこその弊害です」
かつては高齢者を支える現役世代がたくさんいて、家庭を持つのが当たり前だったが、今は経済状況も環境もまるで違う。
「そう、昔はそれでなんとかなった。でも介護や年金問題、子育てや女性の働きやすさなど、多くの制度設計がテコ入れされないままここまできてしまう。バブル崩壊後の経済不振やデフレなど“失われた30年”が今も続いている状態です。’90年代から少子化問題が叫ばれてはいたけれど、『多分いつか解決するだろう』という緩い空気が漂っていたというか。当時の政治家や国民の間に、当事者としての意識が圧倒的に欠落していたんでしょう。そのとき対処すれば違ったかもしれませんが、誰も本腰を入れなかった」
その結果、ゆっくりと確実に悪化し、もうテコ入れができないところまできているのだ。
◆絶望的に重く暗い未来
「そこで一方的に尻ぬぐいさせられるのは、我々現役世代です。もう『誰が悪い』とか、責任をなすりつけ合ってもしょうがないレベルまで到達しているのもわかる。でも、『こんな社会にしたのは誰ですか?』と上の世代に文句の一つくらい言いたくなりますよ。上の世代の見通しの甘さが、一気に現役世代を襲っているのですから」
限られた資源を増やすのではなく、パイを奪い合う方向に舵を切り続けてきた日本。その未来は絶望的に重く、暗い。
「出生率も上がらない、税金もこれ以上上げるのは厳しいとなると、多くの制度を維持するのはもはや不可能です。それなのに少子化対策や失業対策が必要だ、産業転換や科学技術の進歩が必要だなど、今は問題だけが山積みで過負荷状態。そしてなによりキツいのが、今の日本には“出口”がないこと。なにが解決なのかもわからないし、もうその力も術もありません」
もはや、打つ手なし。さらに、「今後、窮地に立たされた日本を救う革新的な政策や、大逆転の一手が打たれる可能性はほぼゼロに近い」と語る山本氏。手厳しい言葉が続く。
◆団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に
「数年後に団塊ジュニアの親世代にあたる、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になったときが最悪です。人は死ぬ前が病気の治療や延命などで一番医療費がかかる。それを支えるのは、団塊ジュニアや、下の世代です。そして今度は自分たちが年をとっていく過程で、今のように稼げるかわからない。ゆっくりと日本全体が貧しくなるので、そのうち企業年金もなくなるかもしれないし、恐らく給料も先細りになる。暗い話ばかりで申し訳ないのですが、輝かしい未来は皆無に近いです」
お先真っ暗なこの状況。それでもなんとか幸せを感じつつ、生きていく術はないのか。
「一番は『自分はこういうことをやって生きていきたいんだ』『これをやっていれば幸せだ』と、社会や周りの価値観や、はやりすたりに惑わされないで“自分なりの価値観”を早く身につけることです。でも問題なのは、僕たち団塊ジュニア世代はそんな生き方を誰にも教わっていないのです」
◆大切なのは“自分らしさ”。団塊ジュニア世代には酷か
団塊ジュニアより下の世代は、個性や自分らしさを重視する“オンリーワン”の大切さが叫ばれた。しかし団塊ジュニア世代は違う。
「我々は受験教育で、『隣のヤツに勝て』と言われて受験を頑張ってきた人々が多い世代です。しかも就職氷河期でまともな仕事に就けない同級生を横目で見ては、『あいつのように俺はなりたくない』と歯を食いしばってきた連中ばかりですから。長年泥水を飲んで、人と競って必死に生き抜いてきたのに、急に『ささやかな幸せを見つけましょう』『高望みはせず、あなたらしく生きてみて』と言われても困惑してしまう。それは団塊ジュニアの世代に一番欠けている要素で、すごく酷な話です」
周囲よりも高いはしごを上れと尻を叩かれ、そして今になってはしごを外されるのはとても辛い。
「ほかには、今のうちに生活困窮者向けの支援制度を知っておくことが大切。実はホームレスになる人の多くが、ほとんど制度を知らない。低所得者や高齢者の生活を経済的に支える生活福祉資金貸付制度や、住居確保給付金など、いざというときのために、できる限りの準備は必要です」
◆最悪のシナリオも
なんとも切ない話だが、最悪のシナリオは終わらない。
「負担の大きい団塊ジュニア世代の中には、『夢も希望もないこの状況下で、生きていることに意味を感じない』と、人生にけりをつける“自決権”を主張する動きが出てくるかもしれない。……そりゃあ弱音も吐きたくなりますよ」
自決は少々過激だが、子供たちには我々の二の舞いになってほしくはない。踏み台になってでも後進への負担を減らすべく、ここで踏ん張って、耐え抜きたい。
◆【作家・投資家 山本一郎氏】
実業家としてITコンサルや高齢社会研究、時事問題などの状況調査を行いつつ、介護や子供4人の育児に奮闘中。『ズレずに生き抜く』(文藝春秋)など著書多数
<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/武田敏将 イラスト/bambeam>
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