高齢者を狙った還付金詐欺が急増している。熊本県警は相次ぐ被害を防ごうと、被害者の携帯電話に録音されていた実際の容疑者の音声データを動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開している。生々しい会話を通じて言葉巧みにだます手口を知ってもらい、注意を促す狙いだ。
「それではこちらの方からお振り込みいたしますので、お振り込みというボタンを押していただいて……」。
3月下旬、熊本県内に住む60代後半の女性宅に実在する銀行の行員を名乗る「ミヨシ」という男から電話があった。語り口は懇切丁寧。電話越しの男に言われるがまま銀行のATM(現金自動受払機)を操作した結果、99万8369円を振り込んでしまった。
女性はこの直前、介護保険料の過払い金が受け取れると市役所職員を名乗る女から告げられた。その直後に男から電話があり、還付金が「振り込まれる」と思って指示に従った。だが、実際は犯人の口座に女性の預金を「振り込んでいた」という。
女性は「新型コロナウイルス禍なので、キャッシュカードと通帳があればATMで簡単に手続きができます」「手続きは今日までです」という言葉を信じてしまった。被害の発覚後も女性は「自分がだまされるとは」と終始驚いた様子だったという。
県警によると、還付金詐欺の認知件数は21年1~3月に1件(被害総額約99万円)だったが、22年同時期は25件(同2341万円)に急増した。被害に遭ったのはいずれも60代。県警が被害者に実施したアンケートでは、被害に遭わない自信が「あった」「少しあった」と答えた割合は9割に上ったという。
被害の増加について、県警生活安全企画課の馬場泰臣次席は「コロナ禍で個人への給付金支給が増加したことで、『自分ももらえるのでは』と思い込みやすくなっているのでは」と分析し、「電話でお金の話が出たら詐欺だと思って警察(#9110)や周囲の人に相談してほしい」と注意喚起している。【中村園子】