「串カツ二度づけあかん」 人出じわり大阪繁華街 GW前に心境複雑

大阪府や東京都など18都道府県に出ていた新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が解除され、22日で1カ月となる。歓楽街には人が戻りつつある一方、若い世代を中心に新規感染者は高止まりの状態だ。飲食店関係者らは「お客さんには戻ってきてほしいが、感染者は出したくない」と話し、29日から始まるゴールデンウイーク(GW)を複雑な心境で迎える。
大道芸人「おひねり増えた」
大阪・ミナミの中心部にある道頓堀の戎橋。晴天となった20日午後、若者や家族連れがグリコの看板を背景にポーズを取り、記念撮影に興じていた。大道芸人の男性(25)は「1カ月くらい前から目に見えて人通りは多くなった。おひねりの額も3カ月前に比べて増えた」。手のひらの上で水晶玉を動かすマジックを披露すると、観衆から歓声が上がった。
ソフトバンク子会社「アグープ」のデータを基にした分析で、直近の土曜日と日曜日(16、17日)の平均の人出を1週間前(9、10日)と比べると、大阪メトロなんば駅周辺は約14%増、JR大阪駅周辺は約10%増、JR京都駅周辺は約1%増などと、各地で人出が増えている。
道頓堀近くの老舗お好み焼き店「美津の」(大阪市中央区)では、20日午後3時を過ぎても店内はほぼ満席だった。経営する森川宜資子(よしこ)さん(65)によると、売り上げはコロナ禍の前に外国人旅行客でにぎわっていたピーク時の7~8割まで戻ってきた。森川さんは「一昨年のGWは緊急事態宣言の期間中で先が見通せない状況だった。今年は人出も伸びており、ひさしぶりにきちんとした営業ができそうだ」と話す。
「二度づけはあかん」「ソースが足りない時はキャベツでソースをすくってつけて」――。大阪のシンボルタワー「通天閣」のお膝元にある繁華街・新世界。串カツ店「ぎふや本家」(同市浪速区)の店長、早川誠二さん(48)によると、重点措置が解かれた3月下旬ごろから、客とそんなやり取りが増えた。「客層がガラッと変わった。以前は関西の年配の人が多かったが、今は東京など関東方面からくる20代前半の若い人が増えたので食べ方を説明している」という。
一時爆発的に増えた外国人旅行客向けに中国語や韓国語、英語のメニューを作ったが、最近はほとんど使っていない。客足は感染拡大前の4~5割ほどに戻ってきた一方、マスクをせずに来店する客も散見されるようになった。早川さんは「ワクチン接種も進んでいるし、今までに比べて爆発的に感染者が増えるということはないと思うが、GWで人が増えると自分たちが感染するかもという心配はある」と明かす。
JTBの調査では、4月25日~5月5日の国内旅行者数は前年比68・4%増の1600万人を見込む。一方、厚生労働省によると、全国の新規感染者数の週平均(20日現在)は4万3504人で高止まりの状態が続く。年代別では20代以下が半数。政府が18日に公表した3回目のワクチン接種率は60代以上で7割を超えたが、20代は26・9%、30代が29・5%と若い世代ほど低い。
新世界に観光に来ていた福岡市の男性会社員(21)は「感染者が多いことに慣れてしまった。知人で感染した人はいるが、重症にはなっていない。私は3回目のワクチン接種を受けたが、若者の中には感染しても仕方がないと思っている人も多いのでは」と話した。【小坂春乃、横見知佳、山田毅】