福岡県大野城市のマンションから14日に救急搬送され、死亡が確認された生後7カ月の男児の遺体に複数の皮下出血や骨折の痕が見つかったのを受け、市は18日、市役所で記者会見し「虐待の兆候はなかった」と説明した。男児の健康状態を最後に確認したのは4月中旬だったが、異常はなかったという。一方、市は母子への対応について、4月に緊急度を引き上げていたことを明らかにした。
男児は井上新大(あらた)ちゃん=同市筒井2=で、双子の弟と母親との3人暮らし。福岡県警の司法解剖の結果、死因は胸や腹の圧迫による肝破裂だった。
市などによると、母親は双子を妊娠中の2021年5月に転入。その際、転出した自治体から新大ちゃんの年上のきょうだい=現在は別居中=の養育が不適切だったとの情報が寄せられた。市は児童福祉法に基づき、母親を継続支援が必要な「特定妊婦」に認定し、担当者がほぼ毎月、家庭訪問や電話などをした。同9月に新大ちゃんらが生まれてからは「要保護児童」として状況を確認してきた。
市の担当者が最後に面会したのは3月24日。市役所で母子の健康状態を確認したが不審な点はなく、母親から離乳食について質問があった。4月中旬以降に新大ちゃんの健康状態について受診した医療機関から報告を受けた時も問題はなく、同28日の母親への電話でも不自然な点はなかった。市から児童相談所に虐待通告は一度も無かった。
母親は市の支援に積極的だったが、4月の面会について来客や多忙さを理由に難色を示していた。市は母子への対応について、緊急度が4段階で最高の「A」か2番目の「B」としていたが、4月にBからAへ引き上げていた。担当者は理由を「家庭内の変化が確認できたため」と説明した。
次回の面会は5月17日の予定だったが、新大ちゃんは直前の14日に亡くなった。市こども未来部の緒方一幹部長は「痛ましい結果に心を痛めている。市としては最善を尽くして対応してきた」と述べた。【河慧琳、桑原省爾】