接種後に痛む「モデルナアーム」女性の発症率、男性の5.3倍と推計

モデルナ社製の新型コロナウイルスワクチンを接種した人に約1週間後に表れる接種部位の痛みなどの副反応について、自衛隊中央病院(東京都世田谷区)が1回目の接種を受けた男女約5900人を調査したところ、特に30代から60代の女性に多く、女性は男性の5・3倍多いと推計されることが分かった。メカニズムについては、アレルギー性の接触皮膚炎に似たものであると考えられるという。調査結果は2日付の米国の医学専門雑誌に発表された。
この副反応は、モデルナ製のワクチンを接種した後、接種部位の周囲が赤く腫れて痛みやかゆみが生じるもので、日本では「モデルナアーム」、米国では「COVIDアーム」と呼ばれる。この皮膚反応はこれまでのワクチンの副反応とは異なり、接種から1週間程度経過してから表れ、なぜ起こるのかはっきり分かっていない。
自衛隊中央病院の東野俊英・皮膚科医長らの研究グループは昨年5月から11月にかけて、東京・大手町の自衛隊東京大規模接種センターにワクチン接種を受けに来た男女計5893人に対して2回目接種前の問診を実施。1回目の接種から6日目以降に接種部位周辺に赤みや腫れ、かゆみなどがあったか尋ねた。
その結果、全体の12・7%(747人)にこうした症状が表れたと推計。女性は22・4%で、男性(5・1%)より統計学上、約5・3倍も高かった。また、30歳未満の発症率は10%以下だったが、40代では15・8%と高く、30~60代が発症しやすいことも分かった。症状は男性が5日程度、女性が6日程度続いた。重篤なケースはなかった。
研究グループは、若い人の発症率が低いという特徴から、アレルギー性の接触皮膚炎に似たメカニズムで起こっていると推測。また、女性に多いのは、免疫反応の男女差が影響していると考えられるとしている。【下桐実雅子】