スタジオジブリのアニメ映画「平成狸(たぬき)合戦ぽんぽこ」(1994年)の題材となった徳島県小松島市の「金長(きんちょう)大明神(通称・金長神社)」が、老朽化で倒壊の危機にある。市民らが修復費用捻出のため、クラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。
大規模ニュータウン開発を阻止しようと、タヌキたちが人間に立ち向かう様子を描いた同映画。モチーフとなった金長神社はJR南小松島駅北約1キロにある公園跡の一角にある。一般社団法人「金長と狸文化伝承の会」などによると、神社のある小松島市には江戸時代、いじめられていたタヌキの金長が助けられて守り神となって、店が繁盛したという民話「阿波狸合戦」が伝わる。金長はタヌキ同士の争いで傷ついたが、最後は助けた主人のもとに戻って礼を述べて息を引き取る。
人間社会を連想させる義理と人情あふれる物語は「新興キネマ」(後の大映)が「阿波狸合戦」(1939年)として映画化し、大ヒット。金長神社は大映の名物社長だった永田雅一氏(故人)らの寄付を受け、56年に建てられた。境内にはタヌキの石像なども祭られており、映画ファンが訪れる名所になった。
しかし、数年前に市が災害拠点として公園への再整備を打ち出し、存続の危機に。市民の反対などで昨年存続できることになったが、築60年を超えた拝殿や本殿はシロアリ被害や雨漏りで傷みが目立つ。「平成狸合戦ぽんぽこ」で描写された拝殿・本殿は立ち入るのが危険な状況だ。倒壊の恐れがあり、修復には全体で約1400万円必要という。
伝承の会は寄付などに加えて5月中旬、CFを開始した。当初の目標額の350万円は約半月で達成したが、確実に事業費を集めるために期限の7月末まで募集を続ける。伝承の会の松村優子理事長は「『阿波の狸合戦』で語られる金長タヌキを祭る場所でもあり、全国のみなさんから支援をいただき、未来へつなげていきたい」と呼び掛けている。
寄付はCFサイト「OTSUCLE(おつくる)」(https://otsucle.jp/cf/)。3000円からで、返礼品には現在の本殿の木材の一部が記念品として贈られる。【植松晃一】