観光船事故で聴聞、事業許可取り消し方針…社長は陳述書で「原因自社だけとするのはおかしい」

北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」(乗客乗員26人)が沈没した事故で、国土交通省北海道運輸局は14日、運航会社「知床遊覧船」(北海道斜里町)に対する聴聞を実施した。海上運送法に基づく旅客船事業許可の取り消しを巡り、同社の主張を聞く手続きだ。運輸局によると、同社は13日に提出した陳述書で、事故の原因が同社だけにあるとするのはおかしいと不服を示している。
聴聞は午前9時30分頃に始まり、午前10時過ぎに終了した。桂田精一社長(58)ら同社の関係者は出席しなかった。斉藤国交相は14日の閣議後記者会見で、「聴聞の結果を踏まえ、速やかに処分内容を決定していきたい」と述べた。
事業許可が取り消されると、同社は観光船を運航できなくなる。ただ、桂田社長の代理人弁護士は、同社を当面存続させ、賠償などに対応するとしている。
国交省が事故後に行った同社への特別監査では、同法に関する19項目の違反が確認された。同社は事故当日の4月23日、荒天が予想されるにもかかわらず運航中止の基準に反してカズワンを出航させていた。運航管理者として事務所に常駐する義務のある桂田社長は当時、事務所におらず、代理の運航管理補助者も配置していなかった。
特別監査を経て、国交省は5月24日、「再び重大な事故を起こす蓋然性が高い」として、同社の事業許可を取り消す方針を示している。同法で最も重い行政処分で、事故を受けた取り消しは過去に例がないという。
事故では14人が死亡し、12人が行方不明のままだ。第1管区海上保安本部は、業務上過失致死の疑いで捜査している。