熱海土石流1年 仮住まいなお194人 第三者委「行政対応は失敗」

静岡県熱海市の伊豆山地区を襲った大規模土石流の発生から、3日で1年となる。土石流により、災害関連死を含め27人が死亡し、1人の行方がわかっていない。地区の一部は、災害の恐れがあるとして立ち入りが制限され、今も帰還できない人もいる。土石流は起点周辺の土地にあった盛り土のほとんどが崩壊して発生したとされ、この1年の間には、盛り土の造成を巡って責任を追及する動きがあったほか、規制強化の取り組みもあった。
総務省消防庁などによると、土石流は2021年7月3日午前10時半ごろ発生した。建物被害は全壊53棟を含む計136棟に上る。一部地域は災害対策基本法に基づく警戒区域に指定されたままで、22年3月1日時点で194人が熱海市内外の公営住宅や民間賃貸住宅に仮住まいしている。
土石流の起点の土地を巡っては、土地の前所有者は07年、宅地造成名目で熱海市に造成計画を届け出た。市が受理した約3・6万立方メートルの搬入量に対し、盛り土は土石流発生前に約7万立方メートルに達し、このうち約5・5万立方メートルが崩れたと県は推計している。
こうした無秩序な開発が横行したことについて、静岡県や熱海市の当時の対応を検証した県の第三者委員会は今年5月、「行政対応は失敗」と最終報告書で批判した。
盛り土があった土地の前・現所有者らに対しては、遺族と被災者計84人が総額58億円の損害賠償を求めた訴訟が静岡地裁沼津支部で進行している。前・現所有者を巡っては、静岡県警が業務上過失致死などの疑いで捜査している。
熱海の土石流を踏まえ、危険な盛り土を全国一律の基準で規制する「盛り土規制法」が成立した。知事や市長らが指定した規制区域内での造成を許可制とし、違反した法人に最高3億円の罰金を科すなど、罰則も強化された。【深野麟之介】