「容体が心配」「民主主義の破壊行為」「がくぜん」…与野党から憤りの声

自民党の安倍晋三・元首相(67)が奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃されたとの一報がもたらされ、政界には衝撃が広がった。与野党からは、暴挙への憤りの声が相次いだ。
東京・永田町の自民党本部には8日午後、党幹部らが続々と集まり、情報収集に追われた。高市政調会長は党本部に入る際、「容体を心配している」と涙を浮かべながら語った。
安倍派出身の細田衆院議長や、梶山弘志幹事長代行も党本部に入ったが、言葉少なだった。渡辺博道経理局長は記者団に「これから事務方と協議する。大変ショックだ」と語った。
安倍氏が率いる安倍派会長代理の塩谷立・元文部科学相は、読売新聞の取材に対し、「びっくりして言葉にならない。こんなことが起こること自体予想しなかった。日本で選挙中にこんなことが起こるとは」と語り、絶句した。同派の稲田朋美・元防衛相も「信じられないという話だ。全然、事実関係が分からない」と述べた。
安倍派幹部は急きょ国会周辺に集まることを決め、情報収集を進めるとともに対応を協議する。
安倍氏の首相在任中に自民党幹事長として支えた二階俊博・元幹事長は、「がくぜんとしている。まだ状況が把握できていない。非常に驚いている」と述べた。
公明党の山口代表は、愛知県豊橋市での街頭演説で安倍氏の銃撃に触れ、「この選挙は、言論で戦う場だ。暴力で言論を封じるようなことは、絶対にあってはならない」と語気を強めた。
野党からも銃撃への非難が相次いだ。
立憲民主党の泉代表は、ツイッターに「安倍元首相の容体が心配だ。とにかく無事であってほしい。こんなことは絶対に許されない」と書き込んだ。泉氏ら党幹部は8日の遊説を取りやめた。
日本維新の会の松井代表は、「日本の民主主義に対する挑戦であり、破壊行為だ。安倍元首相の一刻も早いご回復を祈っている」との談話を発表した。日本維新の会は、参院選全候補者の8日の全日程を取りやめた。
共産党の志位委員長もツイッターで「自由な言論をテロで封殺しようという許しがたい蛮行であり、強い憤りをもって抗議する。安倍さんのご回復を強く願ってやまない」と表明した。国民民主党の玉木代表は、仙台市で記者団に「安倍元首相の速やかな回復を心からお祈りしたい。選挙中に言論を封殺するような蛮行は断じて許すことができない」と語った。